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犬はどこだ

犬はどこにいるのか、私、気になりますっ!

という話ではないのでご安心を。という訳で今回は「氷菓」というアニメをこのブログでも扱いましたがその原作者の米澤穂信先生の『犬はどこだ』について感想を書いていきますよ。

いや、古典部シリーズでもよかったんだけどさ。アニメでみて大筋の話は知ってるし。なら小市民シリーズ?これもライトノベル寄りの作品らしいしどうしようかと迷ってたんですよぉ。(表紙が可愛すぎてレジに持っていけなかったというのもありますw)じゃあ『インシテミル』?映画観たしなあ。で、色々あってこれを見つけたので購入に至ったという次第でございます。

本作は『クドリャフカの順番』の後に書かれた作品ですね。それまでのライトノベル寄りの作品とは一線を画して一般の大人向けのミステリになっています。その辺の事情は文庫版の解説に詳しく書いてあるので購入したらそちらも是非読んでね。

さて、ほいじゃ作品紹介にいきましょうかー。

とある事情から会社を辞め療養をしていた男が犬探し専門の調査事務所「紺屋S&R」を開業した。ところが彼の元に来る依頼は犬探しからかけ離れたものだった。失踪した女性探しと古文書の解読。断るに断れなかった男は高校時代の後輩を雇いつつこの二つの事件の調査を開始する。が、この二つには意外な共通点があって・・・。って感じですかね。

まあ、アニメの氷菓を観ていた段階でおそらく面白いんだろうなぁとは思ってたんですが、私が想定したハードルを軽く超えていくような面白さでしたね。しっかりとしたミステリ、それでいて怖さを残すラスト。うーん、さすがにこのミスベスト10に入ってる作品でした。

まずキャラクターがいいですね。元がライト寄りの作品だからかキャラの立たせ方が本当に上手いです。一般のミステリ書いてる人も一回ラノベ書いたら作品に味が出るんじゃないかな?ただ、どこまでがラノベなのかって線引きは難しいんだけどね。

主人公もなかなかですがやっぱり特筆すべきは後輩で部下、そして作品のもう一人の語り手であるハンペーこと半田平吉と主人公の妹であるあずにゃん梓ちゃんですね。ハンペーは語り手としていい味出してますし、後述しますが作品を最も盛り上げるキャラがある意味妹ちゃんなんですよね。

でね、確かにキャラクターの立たせ方は相当上手いんですよ。でもそれだけならこんなに面白くはなってないはずなんですよね。考えてみると不思議です。ストーリーがものすごく難解というわけでもなければものすごく緻密という訳でもないんですよ。(いや、緻密ではありますけど。最近扱った『バーにかかってきた電話』とかに比べるとね)

色々凝った知識も出てきますし、私にはかなりリアルな描写に見えました。ただそれだけではこの面白さの理由にはならないと思うんですよ。

分類としてはハードボイルドに近い作品?なんですけどそう言い切れるものでもないですし。2つの事件が絡み合っていく感じは素晴らしいけどね。

意外性のあるラスト。ただこれもそこまでおおおおおおおおってなる訳ではないんです。どちらかというと静かなラストですしね。

ほいで、色々考えたんですけど私なりの結論だけ先に。本作の面白さは構造とストーリーの魅せ方だと思います。

まずは作品構造が綺麗なことが挙げられます。多くの対比が隠されてます。例えば・・・

やる気のない主人公とやる気のあるハンペー君という二人の語り手

人の失踪という急を要する事件と古文書の解読という特に期間が決まってない調査

ネットというデジタル的な調査と図書を使った古典的な調査

この対比を交互にリズムよく繰り返してます。この畳み掛けのような視点の転換が面白い。

そして一番の対比構造が二つの事件の関係性を知ることが出来る読者と知らずに各々調査を進めていく登場人物達です。自分は分かってるのに気付かない登場人物にもやもやしながら読み進める感じですね。

そしてこれがもう一つの要素であるストーリーの魅せ方に繋がっていきます。長い間もやもやさせられた読者とようやく二つの関連性に気付く登場人物たち。ようやくつながった、一致した思惑。ここで読者を一気に話へ惹き込みます。

そして一気に話を盛り上げます。読者もそれにつられてヒートアップしていきます。そして作中最高の盛り上がりを見せるシーンが妹ちゃんのこの一言。

「兄さん。復活だね」

ここでテンションが最高潮になります。そして物語の全体像を主人公が明らかにしていく。そうか。そういうことだったのか。ここから怒涛のラストへ・・・

突然ふっと蝋燭の灯を消されたかのような静けさが訪れます。そこまであった熱いものがすーっと消えてしまったかのように。夢幻から解放されたかのように。

そして正真正銘のラストシーン。これもまた静かに。淡々と。わずかな余韻を残しつつ。

読者のテンションをあげっぱなしのまま終わってたら多分ここまでの面白さにはならなかったと思うんですよね。テンションが一番上がるシーンを解決編に持ってきてたらこの作品を紹介する気になれたかどうかは分かりません。ここまで積み上げてきた伏線、丁寧に読者を惹きこむ巧みな技術、そしてこのラスト・・・この3つが揃っているからこそこの作品は面白いんです。

私なりの解釈なので反論はあるかもですが。気にいらない人は戯言として流してもらえればいいかなーって。

はい、というわけで巧みに読者を誘導していき読者を惹きこんでいく名作、是非読んでみてはいかがでしょうか?
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