カラット探偵事務所の事件簿1

さて今回は『イニシエーション・ラブ』の乾くるみ先生の短編連作『カラット探偵事務所の事件簿1』でございます。

うん、未読の方に言っておくとですね、絶対にこっちを先に読んでください。順番はカラ→イニがおすすめです。じゃないと私が感じたように少しだけがっかりするかと思われます。いや、作品自体は面白いんだけどね。

詳しくは後述するとして、早速作品紹介にいってみよー。

高校時代の友人に探偵事務所を開くのだが一緒に働かないかと誘われた。その少し特殊な事務所の事情に昨年末に過労で倒れ、療養していた俺にとっては願ってもない申し出であった。浮気調査や信用調査は苦手としている、謎解き専門の探偵と探偵助手が様々な謎に挑む。実情は閑古鳥がないているのだけれど。カラット探偵事務所―謎解き専門!あなたの頭を悩ます謎を、カラッと解決いたします―・・・こんな感じですかねー。

雰囲気としてはですね、『謎解きはディナーのあとで』に似ています。ゆるゆる系コメディミステリですね。ただこっちは殺人とかが起きる訳ではないのだけれどね。

キャラが立ってるからかな?探偵役は超個性派ですし、俺こと語り手の助手の記述もなかなかユーモアあふれる感じですね。いちいちリアクションが面白いです。

1つ1つの謎、そしてそれを解明していく感じは普通に面白いかったです。胸がときめくというか。おお、そういうことやったんかーと。ひとつに気付ければすぐ分かる系の謎からこんなん分かるかぁ的な複雑な謎まで多種あるので飽きないですしね。

さて、短編連作なので一応エピソードひとつひとつに焦点を当ててみましょうかね。

File1 卵消失事件

事務所の慣れ染めが語られる第一話ですねー。謎の提示から解決まで一瞬なので私は全く分かりませんでした。うん、言われてみれば確かに不自然ですねこれは。浮気調査をしているんですが尾行やらなんやらしていた訳ではなく与えられた情報から真実を導き出しています。このシリーズの方向性を決めたエピソードですね。

File2 三本の矢

「武家屋敷」そう呼ばれている屋敷に弓矢が打ちこまれた。一体だれが、どうやって、何のために?というフーダニットとハウダニット、ホワイダニットというミステリの基本要素が全て詰まった作品。特にホワイダニットを読み解いていく過程は素晴らしかったですね。私は「誰が」はなんとなく分かりました。あくまでなんとなくですけどね。「どうやって」と「何のために」は正直見当つかず。というかかなりの力技だった気も。でもそれがなかなか面白いのですけどね。

File3 兎の暗号

分かるかこんなん。というのが感想。遺産に関して残された暗号についての謎解きですね。こんなんよう考え付いたなといった感じ。全く分からん。というか専門知識ないと無理なんじゃ・・・。ただ、まあふたりの会話部分だけでも普通に楽しめますので謎解きは探偵さんサイドに任せてとんとん拍子に進んでいくストーリーを楽しみましょう。

File4 別荘写真事件

作中最もラストがいい感じのエピソード。やっぱりどんな形であれ家族関係は泣かせるよね。謎も簡単過ぎず難し過ぎずなので読みやすいかも。まあ、案の定私は分からなかったんですが。ただ放置してある燃えた別荘に関しては何かしら欲しかったかも。一応意味はあったけどなんかこの部分だけもやもやが残ってる感じですかね。

File5 怪文書事件

なんかリアリティのある話でした。教訓は子供を産むなら責任は果たそうねといったところでしょうか。それにしてもこんなに大々的に犯行に及ぶ必要はあったのだろうか。読者的感想を言わせてもらえれば楽しかったのでいいんだけどね。このシリーズには珍しいフーダニットですので是非挑戦してみてくださいね。私?分からなかったです・・・。

File20 三つの時計

なぜ20に飛んでいるかは作品内でしっかり説明してくれているのでここでは省略。ふたりの過去の共通の友人が出てくるお話。時間軸が複雑という訳ではないけど入り組んでたりします。ここの謎解きもなかなか面白いんですが本作の大落ちも見どころの一つですね。

見どころの一つ、なんだけどね・・・正直これは読めました。謎解きは全敗なのに大落ちだけカラット解決しちゃいました。しかも相当早い段階で。だから少しがっかり。

言っちゃうと結構な仕掛けなんですが『イニシエーション・ラブ』という大作を読んだ後だともの足りないかも。だから二つ読むなら絶対にこっちを先に読んでください。

「こういうことしてくる作家さんなんか」と分かっていても絶対に騙されるのが『イニシエーション・ラブ』です。一方それを分かって読むと真実に気付いてしまう作品が『カラット探偵事務所の事件簿1』です。だから、読む順番は意外と大事かもですね。

こんな感じですかね。一応私の迷探偵ぶりを書こうかなと思うんですがネタバレになっちゃうかもなのでそれでもいいという方、そして既読の方だけドラッグしてください。

というわけでここから先はネタバレ注意です。

さて実際私が大落ちに気付いたのは序盤5,6ページですね。確信があった訳ではなくもしかしてこれか?と思った程度だったんですが。その理由としては・・・

1.これは乾くるみ先生の作品であること

2.登場人物、設定を紹介しているにも関わらず明らかに足りていない描写があること

が挙げられます。というか煽りで「きっと貴方は騙されるでしょう」なんて言われたらそりゃ警戒するよ。

そして回が進むごとに・・・

3.会話描写の不自然さ

が目立ってきます。注意して読むと私の言いたいことがなんとなく分かっていただけるかと思います。

最後に極め付けが・・・

4.最後のエピソードに登場するふたりの過去を知るキーパーソン

5.しかも過去の人間関係にも言及している

ここで確信でした。おいおい、本気でこれなのかと。

それでも乾くるみ先生ですからね。裏をかいてくるかもとも思ってたというか期待してたんですが素直にきましたね。素直な変化球と言っておきましょうかね。

でもでもなんとなく先が読めても面白いのは事実なのですよ。というわけで殺人やらなんやら出てこないゆるゆる系コメディミステリ、是非手に取ってみてはいかがでしょうか。
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