ふちなしのかがみ

ミステリは嫌だミステリは嫌だミステリは嫌だ・・・

というスリザリンを入りを拒否するハリーみたいな心境で別ジャンルの作品に手を伸ばしたんですよ。思いっきりホラーって煽りがあったし。うん、個人的にはね、ミステリから離れようとはしたんだよ?

買った後気付いたよ・・・。この人ミステリ作家じゃないですかっ(笑)そういえば昔なんかの長編読みました、確か。

はい、というわけで今回は直木賞作家、そしてメフィスト賞受賞、綾辻行人先生と親交があるという思いっきりミステリ畑出身の作家さん、辻村深月先生の短編集『ふちなしのかがみ』でございます。

一応ホラーというジャンルなんだと思います。そういうジャンルを私は『リング』くらいしかまともに読んだことがなかったので本当にそうなのかは判断しかねますが。あ、でもでも『リング』もホラーじゃない気も・・・。

題材がねー、とても懐かしい感じのものでした。花子さんにこっくりさん、未来の見える合わせ鏡とか。誰しも昔話には聞いたことあるような怪奇がテーマでしたね。それでいて、斬新で、面白い。

ではでは、作品紹介です。が、今回は短編なのでひとつずつ紹介入れていきますが、解釈の仕方が微妙な作品があったりするので少し私なりの解釈にも触れてみようと思います。というわけで・・・

ここから先は何時にも増してネタバレ注意です。

一応気をつけますけどね。本当にやばかったらドラッグしないと読めないという処置をとります。

1.踊り場の花子

若草南小学校の花子さんはトイレではなく踊り場にでる。花子さんにはその存在を表したもの、どうやったら会えるか、何をしてはいけないか、何をしなければならないか、そして出会ったものがどうなってしまうのかといったことを定めている7不思議が存在しており、子供たち、そして先生の間でも話題になっていました。夏休みのある日のこと、日直のため学校に来ていた教師の元に2か月前に教育実習に来ていた後輩が訪れることになるのですが・・・といった話。

さて、私が子供のころ一番怖かった存在ですね、トイレの花子さんは。誰しもが知ってる怪談なのではないでしょうか。そんな昔懐かしの存在をテーマにした作品がこちらです。

うーん、一番ホラー。そして一番分かりやすかった話ですね。とても読み易かったです。とても綺麗な文章構造でしたね。しっかりとした伏線をきっちり回収している、まさに短編のお手本のような作品。

実際早い段階で結末の先読みをすることが出来ます。ミステリ的には致命傷な気もしますがホラーとして考えれば素晴らしい演出だったと思いますね。迫っている恐怖を回避できないであろうことは分かっているのにあがこうとする人。先読み出来るからこそ彼の心理描写、どういう風に追い詰められていくのか、その恐怖の過程を楽しめる作品だったと思います。

2.ブランコをこぐ足

勢いをつけ過ぎブランコから飛ばされ地面に叩きつけられ亡くなった少女。本当にそれは事故だったのだろうか。少女は生前『キューピッドさん』なる占いにはまっていたという。彼女は何故死ななくてはならなかったのか?それは事故なのか、それとも祟りなのだろうか。・・・こんな感じ。

花子さんの次はこっくりさんですねー。こちらも子供のころ話題になる怪奇の筆頭です。

この作品も小学校が舞台になってるんですが結構生々しいお話でした。スクールカースト、簡単に言うと学校内秩序が主題になっているお話。団体活動ですし避けられないことではあるんですけどね、なんとなくこう・・・嫌な感じですね。本作は簡単にいうとスクールカーストのせいで起きてしまった出来事の話です。

そしてね、これは解釈が難しい話。ほのめかされる祟りの影。結局少女は何故死ぬことになったん?っていうのがメインテーマです。私なりに考えてみると・・・

十円一枚、動かす度胸もないくせに」という少女の生前の台詞とラストの描写からおそらく・・・

怪奇ではなく、少女が自ら行った行為が最悪の結果につながったのではないか

・・・という結論に至りました。

でもでもこの話で一番謎なのは誰が聞き手なのかという点だと思うのは私だけでしょうか?子供に話しかけるような証言をしてくる子もいましたし、その一方でおそらくある程度の地位にいなければみれないであろう診断書をみていたりするし。その話を聞いて回ってるお前は誰やねんと。言い方を変えると「私はどんな立場で証言を聞いているのか」が一番気になりました。まあ、答えはないんでしょうが。

3.おとうさん、したいがあるよ

認知症の祖母の家を掃除にきた主人公一家が見つけたのは家中から出てきた死体の山。自分たちの監督責任になることを恐れた主人公一家は死体を燃やしてしまいます。が、1週間後再び祖母の家の掃除に来るとなぜか主人公以外死体のことを忘れており、さらに家の中から死体が・・・。という話ですね。

おそらく最も解釈が難しいであろう話。そして最も恐ろしい話な気がします。

私ね、結局どういうことか分からなかったんですよ。結構読み返したんですが。ごめんなさい、読解力不足で。

で、他の人の解釈を求めて読書感想のブログを巡ったんですが・・・ぱっと見誰も答えを出せていないみたいですね。答えなんてないが正解なのかもしれません。

ちなみになぜ私が一番恐ろしい話だと感じたのかというと登場人物の死体に対する対応が怖すぎるからです。

冷静に、本当に冷静に。死体が目の前に沢山現れるという異常な状況にも関わらず。挙句の果てにそのためにあんなことまでしてしまうという・・・。人間って怖い生き物ですね。怪奇なんかよりもよっぽど。

一応、あくまで一応私なりの解釈も載せておこうかなと。正解だとは思わない、そしてネタバレ含みなのでスル―推奨なんですけどね。

結局死体のことを覚えている人間は主人公だけという結末なんですが私は主人公の妄想という説はとれないと思いますね。理由はこんな描写があるから。「ついこないだまで住んでいたけど、今空っぽだから」

つまりですね、人がいなくなっている描写があるんですよね。これがたくさんの死体なのだと思われます。なので「死体は存在した」ということが出来るのではないかと。

これはニュースで主人公の元彼に殺された郵便局員の話が流れていて、その顛末を知っているはずの母が何事もなかったかのようにしている描写からも裏付けられるのではないかと思います。死んだことはなくなっていない、にも関わらず主人公以外覚えていないんですから。

ということはおかしいのは主人公ではなくて・・・というのが私の解釈ですね。なぜ、忘れているのかは結局分からず疑問のままなんですけどね。

まあ、主人公も大概おかしいのだけれど。


うん、何が言いたいかというと結局真相は作者さんのみが知る・・・って感じなんじゃないでしょうか。いつの日かこのエピソードに対して解説をいれてくれることに期待しておきましょう。

4.ふちなしのかがみ

大きな鏡を取り出して俺につきつけてこういった。アンタの泣き顔わr

はいはい、ふざけてないで。ラフメーカーみたいなハッピーエンドならどんなによかったことか。

大きな鏡を用意します。自分の年齢と同じ本数赤いロウソクを用意します。ろうそくに火を灯し、それが鏡の中に全て写り込むようにします。鏡を背に立ちましょう。そして午前零時に振り向くのです。そこにはほら、貴方の未来が・・・。はい、こんなお話。

今度は合わせ鏡の亜種ですねー。これも一度は話題になったんじゃないでしょうか。実際は合わせ鏡を用意すること自体が子供には結構難易度高めなので実際にやったという人はいないと思いますが。

じゃあ、早速感想を。あ、ミステリだこれぇ・・・。今までの話はホラー要素あったからね、自分を騙してこれたんだけど。今回読んでるのはホラーだからと。うん、完全にミステリだったこの話は。ただ、やっぱ好きやわこういうの。

うん、正直早い段階で気付きました。確信したのは2回目の視点変化のお父さんの証言でしたねー。

気付いたけどうん、やっぱり面白かった。さすがの表題作といった感じ。私の好みを挙げるなら好きなのはこれか花子さんですかね。

5.八月の天変地異

クラスのいけてないグループに所属しているのが嫌で、実在しない友達を作り上げた。嘘の中から出てきた少年。偽りの存在。そうだったはずだった。あのひと夏の夢のような出来事が起こるまでは。そう、彼は現実に現れたのだった。嘘の通り、僕の親友として。・・・こんな感じ。

ラストを飾るのに相応しい作品でしたね。子供時代の夢のような出来事を書いた物語。ここでもスクールカーストが出てくるのだけれど、こっちは救いのあるお話でした。

総じて一番怖いのは人間であるという感想を抱くお話が続く中でラストに人の温かみに触れられる作品。一冊通してのラストとしても綺麗な締め方だったと思います。

うん、こんな感じでしょうかね。いつもとは趣向の違う短編集でしたがとても楽しめましたねー。是非是非手に取ってみてくださいねー。
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