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鉄の骨

ゼミ課題だったはずの小説を今読んでなぜあの時読まなかったのだろうと少し後悔している今日この頃。

というわけで今回は『鉄の骨』でございます。異様なゼミ教授のプッシュから出版社から何か貰ってるんやないの?と邪推してたんですがこれはためになる。そして、面白い。

NHKでドラマ化してるんですよね。小池徹平主演作です。こちらもなかなか面白いらしいですよ~。私は観てないのですが。今度借りてこようかな?

池井戸潤先生の作品ですね~。この方はビジネス書なんかも書いておられる方なので内容がとても詳しかったです。そして難しいはずの内容が分かりやすく記されていました。ただ、それでも難しい内容ではあるんですけど。

私の場合はゼミ教授が読め!といってくるような感じの研究をしていたのでなんとかかんとか理解はできましたが、意外と?ってなるラストだったかもしれませんね、確かに。

なので、今回は浅知恵ではあるんですが少しだけ解説もしてみたりしながら感想を書いていきましょう。あ、もちろんですが、ネタばれはしないつもりです。

ではでは、作品紹介~。

現場の人間が業務課に!?異例の人事を受け業務課に転属となった主人公。そこは会社の存亡をかけてどんなことをしても仕事を取らなくてはならない、会社の命ともいえる職場だった。それがたとえ法に触れる「談合」という手段だったとしても。戸惑いながらも会社のために奮闘を始める主人公。職務の違いから次第に考えがすれ違うようになる彼女との関係や母の過去、そして談合を調査する検察側、様々な思惑が交差する中会社の命運を大きく左右することになる地下鉄工事の競争入札が始まる。・・・こんなところでしょうか?

視点が結構頻繁に入れ替わるのが特徴ですね。主人公、主人公の彼女、お偉いさんサイド、検察などなど。ただやっぱりメインの主人公(中堅ゼネコンサイド)と彼女(銀行)との考え方の違いが面白いところだとは思います。

会社を救うために談合が法を犯していることは分かっていてもそれも視野に入れつつ動かなければならない主人公と経済全体から物事をみる銀行員視点の彼女。この比較が面白いです。当然互いの考え方が全て正しいとは思っていないけれども立場上相手を批判せざるを得ない。周りの人間がそれを助長してますしね。これがおそらくメインテーマの一つです。

ただ、彼女視点はこの子が自分に好意を寄せている先輩銀行員と主人公の間でふらふらしている描写なのでどっちかというと恋愛要素といった感じではあります。その分先輩銀行員はきっちり批判を入れてくれるので対比構造はしっかりしてるんですけどね。

この先輩の描写に作者さんの多少の悪意を感じるのは私だけなのかな?あえてマイナスイメージを持たせるように書いているような・・・?まあ、主人公から彼女寝取ろうとしてる人物ですし、メインはあくまで一つの企業が生き残っていくにはというテーマなので銀行側が多少マイナスにとられるようになるのは仕方ないのかな。

ひとつひとつの描写がリアルなのも特徴。おそらく本当にこういう手続きを経ているんだろうなと感じさせてくれる内容ですね。談合の部分もそうですし、検察の捜査という部分も、です。

作品の感想としてはこんな感じですかね~。ためになるし、ひとつの話として面白いです。

じゃあ、ここからは少し分かりにくかったという方が多分おられると思うので読むときに役に立ちそうな前提知識をまとめてみようかなあと。私も久々にそれ関連の教科書やら参考書を引っ張り出して読んでましたし。ただ、私も詳しくないですのであんまり期待はしないでください。

まず、ゼネコンって何か分かりますか?私、言葉は聞いたことあったけど正確な意味を知りませんでした。

ゼネコンとはゼネラルコントラクターの略です。建築も土木もやる大きな建設会社のことですね~。ちなみに土木は公共財を整える作業と覚えておけば多分大丈夫です。要は生活に関わる道路やらを作ることですね。今回の舞台はこの土木の部分です。

さて、建築部門は大体私人間契約という形になるかと思われます。簡単にいうとA「こういう感じの建物建ててくださいよ」B「わかりました」ってやつです。つまり基本的には行政やらを介さずに行われるものですね。

一方土木は公共財を作る工事です。これは公共団体(国とか県とか市とか)が「道路つくって~」という感じなんですが・・・ここで問題になるのが誰にやらせるかです。

私人間、つまり依頼主が私人ならその人が信頼できる業者さんに頼めばいいわけですが、公共団体が差別してええの?という問題が出てくるわけですね~。

そこで出てくるのが競争入札制度です。本当は他のやり方もあるんですがここで問題になっているのはこれについて、そして実務上おそらくほぼこれが使われているので今回は無視します。

競争入札には2種類、一般競争入札と指名競争入札があります。今回問題になっているのは後者なんですが、何が違うのかというと入札に参加できる企業の選び方に違いがあります。前者は希望者全部、後者は発注者があらかじめ入札に参加できる企業を選びます。

もちろん前者の方が公正ですし望まれています。それが真の競争の在り方だからね。じゃあ、なぜ後者が存在するのでしょうか?

それは行う事業が公共事業だからです。力のない企業が入札したものの、実際には出来ないというパターンは絶対に避けなければならないことだからですね。「私はわずかこれだけの額でこの工事を行えます」と一番安い額を示すとそこにその工事が任せられるのですが、最終的に「やっぱり無理でした~」とか言われる訳にはいかないんですね。

だからこそ、一定以上信頼のおける企業だけを入札に参加させる指名競争入札が行われるわけです。

ちなみにどうやって実際に工事させる業者が決まるかというとさっきも書きましたが、一番安い額を提示した企業に任されることになります。発注者としても安くやりたいですからね。

じゃあいよいよ本丸、談合について話しましょう。

どうして談合が起きるのかという問題。一番安い額を提示すれば仕事が取れるわけですが、もちろん相手がいることなのでどんどん安くなっていくわけですよ、提示される額が。それこそ利益が出ないくらいに。

だから、今回はA社、次はB社、その次は・・・というようにいつの発注をどこがとるかを決めておくことで過剰に価格が下がることを抑え、全体で利益を産み出そうとするのが談合です。

これだけ聞くと別に悪くない様に聞こえるかもしれないですが、自由競争が阻害された段階で一番割りをくうのは消費者です。土木という観点からみると国民ですね。実際はもっと安く出来るはずなのにそれをしないから余分に税金を払わなくてはならないという感じ。

じゃあそもそも何をもって談合というの?

これはこういう談合としてみるよりも企業間で示し合わせる価格カルテルの方が分かりやすいのでそちらで説明しますね~。ちなみにですがカルテル=談合と考えてくれて問題ないです。

ある商品を扱えるのは3社だけとしましょう。そこでは激しい価格競争が行われていました。A社が500円で売っていたらB社は450円、C社は400円。これを受けてA社は350円・・・という風に。

きりがない。このままでは利益が出なくなってしまう。そこでA社はこう持ちかけます。「価格競争は止めて、3社とも一律600円で売らないか?」これにB社もC社も賛同します。結果この商品はこの先ずっと600円で売られることになるのでした。

これが価格カルテルですね。一番損害を負ってるのは消費者です。

なお、実際は新規参入が考えられるのでここまであからさまにはならないんですけどね。それはここでは無視します。

でもね、市場理論をかじったことがある人は分かると思うんですが適正価格はどの商品でも需要と供給により決定されます。なので本来はその商品を扱う企業の全てが同じ価格で商品を扱うことは普通のことなんですよ。

だから結果として値段が同じになりましたという事実だけではカルテルがあったということができません。

そこで要件がもう一つあります。「意志の連絡があったかどうか」

これがあった+結果として行為が一致しているときカルテル、談合が行われたということが出来ます。もちろん作中で言われてましたがこれを立証するのはとても難しいんですけども。

ふう、やっとここまできた。もう一度言います。つまり談合の要件は・・・

事前に意志の連絡があったこと

結果として行為が一致していること

です。これを覚えておくとなぜ本作ラストがあのような結果になったのか理解出来るかと思われます。で、おそらくここに書いたことを覚えておけば大体すらすら読めるのではないかな?

さてはて、未熟な知識ではあるんですが本作を読む際に役に立ってくれるといいなと思います。

私のゼミの教授も絶賛してた本作、是非読んでみてはいかがでしょうか?
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