闇の喇叭

仕事中に偶然見つけた一冊。その場で頼み込んだ。

「お願いします、あれだけ買わせてもらえませんか」

というわけで久々の読書感想は有栖川有栖先生のソラシリーズ第一弾、『闇の喇叭』で行きたいと思いますー。これ欲しかったんですよねー。

だって、『論理爆弾』以外置いてないんだもん普通の書店に。どうせ買うなら3冊まとめてーと思ってたんだもん。そしたら偶然見つけました。

びっくりした。1冊ずつ綺麗に並んでるんだもん。で、速攻読むよね。そしたら、これは感想書きたくなりますよね。当然の成り行き。

さて、ではでは、作品紹介の方へ。

原爆投下が1カ月遅れた日本が舞台の物語。北海道が独立し、不自由が国民を襲う世界。私的探偵行為が禁止され民間人が事件を解決することは罪となった。名探偵の両親を持つ空閑純は、とある事件の捜査中に行方不明となった母からの連絡を待つため、母の出身地で父親と共に身をひそめていた。身分を明かさず暮らしていた二人だったが、そこで身元不明の死体が発見される。――――――――――――少女探偵ソラ誕生前夜の物語。

まず驚いたのはアリスが語り部でないことですかね。有栖川先生の作品でアリス以外が語り部やってるのは久々に読みました。

それもそのはず。ある種ファンタジー要素のある作品ですからね。舞台設定の特殊ですもん。ただ、そこは有栖川先生の手腕ですよね。

本当に原爆投下が遅れていたらこうなっていた。

と、思わせるには十分な描写でした。こういった設定には一長一短あるのですが、その辺も上手くまとまっていた気もしますねー。

長所としては、キャラクターの心理や行動をそういう舞台だからで説明できてしまうところ。ここが強みですね。この状況下だったらこういう動きをする人もいるやろ?だから不自然じゃないねん…みたいな?

短所としては舞台の説明が必要と行ったところなんですが、その辺はさすが百戦錬磨の有栖川先生。ごくごく自然に受け入れられ、説明が野暮ったく感じないような配慮が行きとどいていましたねー。本当にリアル。

次にキャラ描写ですかねー。純ちゃんを筆頭に視点を次々に入れ替えていくタイプのストーリーなので各キャラクターが立っていないと面白くないのですが、うん、十分に魅力的でした。

個人的に好きなのはお父さんかな。関西弁のキャラは必須だよやっぱり。

純の友達二人もいいですねー。青春してるもの。第六章とか事件やら物語の核心に触れたりはしてないですけど、一つの物語の終わりにはふさわしいというか。綺麗にまとめつつ、寂しさが残るそんなラスト。

あとがきを見る感じ、初めは続きものを意識されていなかったようですけど、これは続編出さないと。一本でも面白いけど、先を見てみたいと思わせますもんねー。彼女や、周りの人がどうなっていくのか気になるもん。

と言った感じですかねー。最後に私見を述べておくと…

最初に思ったのは有栖川先生らしさが薄いなーといったこと。舞台設定やら人間関係やら大本の物語やらに重点を置いているので事件そのものは『女王国の城』とかに比べたらあっさりした感じでした。

イメージは長編と言うより、短編と言った感じ。作家アリスの短編集の長い版…かなぁ。設定の紹介やらで長くなりましたーみたいな。

ただ、そこがこの作品の面白みかなって。

有栖川先生の引き出しの多さを感じ、一本の大きなストーリーの序曲として、また、一本の作品として、推理小説として、青春小説として様々な要素を抱えながら、そのすべてを成立させている…そういうイメージ。

帯にありましたけど、有栖川有栖の新境地というあおりに偽りなしです。色んなものが詰まっている魅力的な一冊、是非是非ご覧くださいな。
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