スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

もう誘拐なんてしない

さて今回も東川作品。だけれども、謎解きの続編ではない作品の感想を。今回活躍するのは執事とお嬢様ではなく、やくざの娘と大学生です。影の主役はお姉ちゃんだけど。

ってわけで『もう誘拐なんてしない』の感想を書いていきまーす。

これもね、ドラマ化されたんですよ。しかもこれも嵐主演で。大野君でしたね~。ヒロインは新垣結衣。実質主役のヒロインのお姉ちゃん役に貫地谷しほり。脇を固めるのが佐藤隆太、成宮寛貴、要潤、山口紗弥加等実力のある俳優陣が固めてました。どちらかといえばコメディ要素の強い配役ですが、そのとおり、基本はコメディですね。

もともと大野くんはコメディの方が力を発揮するタイプですし(いや、シリアスもそれはそれでええけど)ガッキーもどちらかといえばコメディ向きな気がします。そしてなんといっても貫地谷しほり。主役から脇役、シリアス系からお笑い要因まで何でもこなせるオールマイティカードですが、一番その才を発揮できるのはコメディなんですよね。トリックのスピンオフとか、要潤とやってた「君、犯人じゃないよね?」などなどおすすめの作品が多々ありますね~。

そしてね、ストーリー改編も上手かったんですよ。配役に上手く合わせた感じ。ガッキーの役の性格変更とかはいい改変だったといわざるをえませんね。そしてああいうコメディ特有の遊び心も満載でした。

もちろん面白いドラマの原作は大体面白いものです。あ、一部例外を除けばとしておきましょうか。本作ももちろん面白い。そして実に東川先生らしい作品でした。ってわけで作品紹介から~。

ひょんなことからたこ焼きの屋台を引き、ひょんなことからやくざに追われている少女を助け、ひょんなことからその少女と共に行動することとなった大学生。そして彼は知ることになるのです。彼女がやくざの組長さんの娘で、なおかつ多少事情があり組長とは血がつながっていない(と思われている)妹を助けるために手術費用が必要なことを。2人は考えます。

「やっぱり親に出してもらうのが一番だ。よし、身代金を要求しよう。」

一世一代の大芝居に挑もうと決意。でも肝心の方法が思いつかない2人。そこで先輩に話を持って行ったことから大事件に発展するユニークで、少しだけ危険な狂言誘拐の幕が開かれるのです。・・・こんな感じですかね。

むむむ・・・今回はあらすじ紹介が難しかった。なにせ視点が二つあるからね。狂言誘拐組とやくざ組。しかもね、主人公は表向きはこの大学生なんだけど実質ヒロインのお姉さんなのよね。

どちらのパートもやっぱり掛け合いが秀逸でしたね~。東川先生は会話でキャラを立たせるのが本当に上手いです。感覚でいえば漫才をみている感じ。小道具にハリセンなんて出てきますしね。

ほいで、ここで少し文庫版の解説の方に目を向けようかなと思います。書評家の大矢博子さんによるものです。これがまた名解説なので購入された方は読んでみると面白いかもです。

この解説では本作を脱力系ユーモア誘拐ミステリと称しています。ですが、実は様々な顔を持っているとも。本作は青春ミステリであり、旅情ミステリであり、そしてやはり本格ミステリなのだと。そして本作にはその全ての要素が必要なものだったと語られていますね~。読みやすく、そして本作の特徴を余すことなく伝えている素晴らしい解説ですね~。

ちなみに解説中に東川先生の言葉が引用されています。それはこんな言葉。

「本格ミステリとユーモアは自分の中ではひとつです。好きな笑いのタイプは前振りがあって落ちがあるものだし、本格ミステリも伏線があって、それを回収していきます」

そして本作はまさにその言葉通りの作品でした。

正直にいうと私は最初ところどころに笑いどころはあるけれど、文章としてはそんなにかなあと思ってました。『謎解きはディナーのあとで』の印象から少しだけ残念に感じたのが実際のところです。

ただ、読み進めて最後までたどり着いたとき、ああ認識が甘かったなあって、これはやられましたわぁって思わざるを得ませんでしたね。それほどまでに前振りと落ちが鮮やかに決まっています。最初のユーモアは確かに笑いどころではあるんですが、実は前振りなんですよ。伏線を隠す東川先生流のテクニックなんですよね。

そして前振りなんですが、そこに含まれた笑いの要素がキャラの魅力を引き出していることもまた特筆すべき点でしょうね。ユーモアミステリとしてしっかりしたキャラ立て、笑い要素が存在し、本格ミステリとして緻密に考えられた伏線とその回収の綺麗さも感じられます。

そしてメイントリックは解説でも触れられていますが舞台となっているこの土地でしかできないものでしょう。しっかり旅情ミステリとして背景描写を描き込んでいて、さらにそれが本格の要素も持っている。

全ての要素を高レベルで擁しているからこそ、本作の面白さは際立っているのだと。そう解説では伝えられていますし、私もそう思います。

そうそう、本作の結末なんですが後日譚みたいなのがなく、意外にすっぱり終わるので少々物足りない感じがあるかもですが私はこの終わり方は結構気に入ってます。後処理をあえて描かないのは謎解きでも使われていた手法ですしね~。どうしても気になるってひとはドラマ版の方はたしか事件後の顛末にも触れてたはず。これが今みれるのかは分かりませんが知りたいのであればドラマ版の方を参照でいいのかなと思います。

まあ、少々設定が異なっているので完全に補完できるわけではないですけれど。

緻密ながらもメインはやっぱり脱力コメディ。力を抜いて気軽に読める本作を手に取ってみてはいかがでしょうか?
スポンサーサイト

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

まとめtyaiました【もう誘拐なんてしない】

さて今回も東川作品。だけれども、謎解きの続編ではない作品の感想を。今回活躍するのは執事とお嬢様ではなく、やくざの娘と大学生です。影の主役はお姉ちゃんだけど。ってわけで『...

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

みちくさぼーや

Author:みちくさぼーや
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。