スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

初恋

私は多少偏屈な読書の仕方をしていると自負しています。序盤の伏線が結末で綺麗にまとまっているかを重視する読書法。だからネタばれは全然平気だし、同じ小説を2,3回は繰り返して読まないと気が済まないんですよね。設定がどんだけ刺激的だろうと、結末がどんなに奇想天外なものだろうとあくまでそれらはオプション。うん、うまく言い表せないけどラストに向けてまとまっていく感じが好きなんですよね。

ただ、私はこんな感じの読書を生まれてこのかたずっとしてるというわけではないのです。文章の綺麗さを求めるようになったきっかけとなる作品があります。それが高校時代に出会ったこの作品。中原みすずさんの『初恋』です。

というわけで私にとって思い出深い、そして最も大切な作品のひとつである『初恋』についての感想を書いていこうと思います。
 
購入のきっかけはこの作品も映画化です。うーん、このミーハー。宮崎あおいさん主演でしたね。ただ映画版はなぜか一番大事であるはずの手紙のシーンをほぼオールカット、謎のオリジナルシーン付け加えなど原作読んでからだとちょっとがっかりする内容でした。あ、あおいちゃんはとても可愛かったですよ、もちろん。

読了後ちょっとした個人的エピソードがあったんですがそれは別の機会に話すとして・・・

早速始めましょう。まずは作品紹介~。

府中3億円事件。未解決のまま時効を迎え、未だに真相は闇の中になっている。これはその犯人の独白。学生運動一色に染まった時代。ジャズが流れるひとつの喫茶店を中心に彼女の「初恋」と「青春」の物語が流れていく。そう、あの事件の実行犯は当時まだ18歳の少女だったのだ。って感じですかね。

そう、犯人の独白。登場人物視点で進む物語です。だから先ほど先生とは呼ばなかったんですよね。中原みすずさんが主人公の物語だから。

さて、こういうあるひとりの登場人物の視点で固定されているという構成ですがメリットは話を作りやすいことです。だってその人物にその場であったこと、感じたことを語らせればそれがひとつのストーリーになるのだから。

ただもちろんデメリットも。それは伏線回収がしにくいことと同時に起きている違う出来事を書き表せないことです。その人物がみたこと、経験したことしか描写できないので当然といえば当然です。後者はそれでもまあ、どうとでもできます。ただ前者、これが厄介です。置ける伏線も限られ、その人物がストーリーの出来事を完璧に把握できる訳ではないのでどうしても回収しきれない伏線が出てきます。しかしながら・・・

このデメリットをうまく消しているのが本作。ところどころに置かれた伏線をしっかり回収しきって綺麗に結末までまとめています。これをみて私は文章構成の美しさを知りました。衝撃でしたね。ほとんどすべての描写に意味があるんですよ。後から読んでみて、だからここにこういう描写が置いてあるんだということに気づき、それに感動すら覚えるレベル。

これはプロットをうまく調整しているからかなと思いますね。登場人物を増やしすぎず、また描写を深くしすぎないことでどっちかというとモブに近いキャラを目立たなくさせ、メインの二人、及びほか数人に注目を集め、彼らをうまく動かしています。

もちろんストーリー自体も面白いです。多少甘ったるいと感じる部分はあるんですが(主に台詞回しが)、3億円事件と二人の恋愛とは呼べないような微妙な関係を中心に一人の女性の半生をうまく表しています。読者に向けてのあるギミックもありましたしね。結構驚きがあったりします、実際。

本作には美しいという言葉が似合うのかなと。構成もストーリー自体も。ストーリーは儚いものの美しさという感じですが。

で、当時高校生だった私は本作を読んでからこういう作品が面白い、こういう作品をもっと読みたいと思うようになった訳ですね。だから構造の美しさを重視するし、これからもそのスタンスで読書を続けるのでしょう。

本作は200ページにも満たない、短編といってもいいレベルのとてもあっさりとしたもの。読むのにそんなに時間がかかりません。でも、私は今でもたまにこの作品を読み返しますし、未だにこの作品は驚きを提供してくれます。

私の人生の中でも未だに頂上グループに君臨し続ける本作、是非読んでみてください。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

みちくさぼーや

Author:みちくさぼーや
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。