バトル・ロワイアル

昨日記事を書いてたらなぜか急にPCが落ちて挫折しました。長文だったのに・・・。

はい、というわけで今回は『バトル・ロワイアル』です。前回の『誰がための刃 レゾンデートル』で触れたので読み直しました。うん、やっぱり面白いですねこれ。

バトロワさんと言えば映画版が有名なのではないでしょうか?今じゃ考えられないくらい豪華キャスト。というよりこれを機にブレイクした方が結構いましたよね。原作とは多少ストーリーが異なるものの映画というメディアで考えればとてもいい改変だったと思います。

しかーし、やはり面白いのは原作なのですよ。映像化に限界のある作品ですしね、これは。ってわけで早速いってみよう。ただ、その前に・・・

今回は先にこの作品にまつわるエピソードに触れましょう。

この作品は出版されるまでにちょっと複雑な経緯を持っています。事の発端は第5回日本ホラー小説大賞最終選考まで遡ります。最終選考前の下読み選考から大賞確実の問題作があると評されていた本作。当初の予想では圧勝のはず、だったんですが最終選考で酷評され、落選。ちなみにこのときは全部門該当作品なしになってます。そのときの選考委員の名前は伏せさせていただきますが、まとめるとこんな感じ。

「小説としての出来は確かに一番。ただ中学生が殺し合う内容が倫理的にNG。」
「某有名ドラマのパロディ等不愉快な表現がある。」
「この作品を大賞にするとこの賞にとってマイナス。」
「こういうことを考える作者自体が嫌いなんです。」

言いすぎだろ、さすがに。だいたいホラーで倫理的にダメってなんだよ。虐待の末亡くなった息子の霊が家族に復讐するやら、ただ単に人を惨殺し続ける作品とかやばいのはもっと他にあるだろう。日本の小説では大体の作品で人が亡くなるんだから。しかも文学賞なのに作品の構成じゃなく中身だけで判断ってどういうことなんだよ。

なんて文句を言いたくなります。で、その気持ちを代弁するようにこんなようなことを歌人の枡野浩一先生がコラムで述べたんですよ。それに編集者が目を付け刊行に至るといった感じ。こうして問題作『バトル・ロワイアル』は世に送り出された訳です。

実質ホラー小説大賞の酷評が作品に話題性を付加してしまったという皮肉な結果に。まあ、そんなのなくともこの作品は多分話題になっているとは思いますけども。かくしてバトロワは知らない人の方が少ないような超人気作となったのでした。

でね、ここまでみると作品の内容だけで人気作になったという印象を受けると思うんですが・・・この作品の最も優れているところは舞台設定やらキャラクター描写ではなく緻密なプロットと雰囲気に合わせた文体だと私は思っています。

とりあえずここで作品紹介~。

世界大戦を潜り抜け、東洋の全体主義国家として存在する大東亜共和国。その国では国防上必要な戦闘シュミレーションとして全国の中学3年生から任意に50クラス選び出しクラスメイト同士で殺し合いをさせる殺人ゲーム「プログラム」が行われていた。生き残ったひとり優勝者のみが家に帰れるという過酷なゲームに巻き込まれた生徒42人による生き死にのゲームが幕を開けた。・・・こんな感じですかね。

確かに内容だけみると生々しい。なんとなく倫理的にもアウトな気もしますね、これ。まあとっくに世に出てきてしまってるのでいまさらいうことではないか。「ってかホラーじゃないじゃん」って突っ込みが入りそうだなと思いますが、作者さんによるとこれだけの長文を受け付けてくれる賞があまりなく、一番違和感がなさそうなところに応募したのだとか。

そして当然内容も面白いですよ。明らかに異常なくらいタレント揃いのクラス、一人ひとりに用意されている人間ドラマ。ルールを受け入れる者、抵抗を試みる者、錯乱する者をうまく書き分けることで40人超える登場人物のひとりひとりがしっかり描写されています。大筋のストーリーもラストまで目が離せませんしね。

でもやっぱりバトロワの素晴らしいところは40人以上登場人物がいて、なおかつ視点が次々に入れ替わる群像劇であるのにプロットが破たんせずラストまでにきっちり読ませるところかなと思いますね。視点の入れ替え、それによる文章の長短により緩急をつけることでありえない設定をリアルに表現しています。

また文体も暗くなり過ぎないようにする配慮を感じられます。時たま入れてくる微笑ましい描写も本作の味のひとつ。夢を語り合うシーンとか告白なんかもあり重いテーマながらふっと気を抜ける、それでいて急に話を動かしさらに恐怖を煽ってくる。こういう複数の役割を果たすシーンが多いです。だからこそ文章に深みがあるんでしょうね。

あ、あとキャラの退場のさせ方、タイミングがうまいですね。効率的に退場させることで本筋がばらばらにならないようにしてました。退場って言い方はどうなんだろ?ここでは退場=死ですからね・・・。

こんな感じかなあ。言いたいことがうまくまとまってない気もしますが・・・。

とにかく、面白い作品ですので是非読んでみてください。

はい、じゃあここからは~

ネタバレを含む可能性がありますので注意してください。







私はですねー、『バトル・ロワイアル・インサイダー』という解説本も持ってるのでちょっとストーリーの内容にも触れてみたいと思います。ちなみにこの本は半分が原作、半分が映画版について言及されてます。

まず、誰が一番殺しているか?

はい、筆頭はあの男の子、そして次点があの女の子です。ここまでは予想通り。ただもう一人複数人殺している生徒が存在します。それは灯台でマシンガンをぶっ放した彼女です。意外。ちなみにこのシーンはバトロワきっての名シーンです。っていうか複数殺しているのはわずかに3人だけなんですね(見落としてたらごめんなさい)。手を汚してない生徒も結構いました。ちなみに主要グループの3人は一人ずつ殺していることになってます。

退場のタイミングは?

約丸2日のゲーム中24時間生き残れなかったのが22人(多分)。大体退場させる時間は均等に分けていたみたいです。ちなみに生き残ってる人を分類すると、中盤の見せ場のために残しているグループ、終盤まで残り、ドラマが多く描写される主要グループ及び人物、そのドラマを描くために引き立て役として残されている人物、物語終盤に恐怖を残すための退場要員って感じかなあ。きっちり役割分担がなされていますね。しっかりとしたプロットがなせる技でしょう。

実際この作品は時間的なプロットと場所的なプロットがしっかりしていなければ完成させられません。それだけでも複雑な構造なのにそれを42人+αでやったのですから作者さんの技量には拍手を送らざるを得ません。確かに内容だけ見れば残酷かもしれません。ですが、この文学としての美しさはそれを補って余りあるものだと私は思います。

以上です~。

ちょっと反感をかいそうな書き方をしていますが、あくまで小説の中の出来事ですから、小説の構造として面白いですよ~と言いたかっただけなんです。不快に思われた方がおりましたらこの場を借りて謝罪します。申し訳ありませんでした。
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まとめtyaiました【バトル・ロワイアル】

昨日記事を書いてたらなぜか急にPCが落ちて挫折しました。長文だったのに・・・。はい、というわけで今回は『バトル・ロワイアル』です。前回の『誰がための刃 レゾンデートル』で

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