メディアの違いをなんたらかんたら?

ほい、久々の本当に久々の駄文です。というかですね、リア友に・・・

「あのブログ漫画は扱わないの?漫画やったらコメントするけど」

的な発言をされまして。うーん、いいんだけどさー。やっぱり漫画に求めるものと小説に求めるものは違うのよね。ついでにいうとアニメとかドラマに求めることも大分違うんだよね。だから感想が全く違う感じになっちゃいそうなんですよね。しかもね、漫画連載組は完結してないから感想も何も書けないし、無事に終わっていたとしても初期の設定置いてきぼりになってたりするからねー。

ここまでいっといてなんなんですが、私は漫画大好きですよ?

まったり日常系からガチガチの戦闘漫画もスポーツ系も大体の漫画は語れますよ多分。マイナーどこは無理だけども。好きなジャンルはやっぱり日常系かなー。深く考えずに読めるっていうのがいいですよね。桜庭コハル先生とか大好きですね。というかヤンマガ好きなだけ?w

一番読んでるのは麻雀漫画だけどね。私近代麻雀購読してますから(キリッ

まあ、実際ここまで前置きだったりします。漫画を扱うかどうかはそのときのノリ次第で。

でね、今回問題にしたいのはコミカライズとかノベカライズとか反対にアニメ化ドラマ化なんていうメディアをかえて作品化される作品についてです。

今は実写化ブームですしねー。「なにそれ?」っていうマイナー漫画から超有名どころまでとにかく実写化しとけみたいな風潮がありますね。ぐれーとな先生があれする漫画とか「おろろ・・・」とか言いながら剣をふるうニートの話とかね。

でもそういうことをするとですね、毎回出てくる言葉が「原作レイプ」ですね。ラノベアニメ化と漫画実写化に付きまとう問題だね。尺の都合上カットされたシーンがあったり、お話自体を思いっきり変えちゃったり。

で、それに対するテンプレ解答がこれ。「メディアの違いを理解せよ」です。

その通りなんです。確かに正論なんだよこれ。でもね、上手くいってるパターンがあるだけにやっぱり気になっちゃうんですよね。作品を愛するが故ですし「原作レイプ」と叫ぶ人の心情も理解できる。

うーん、難しい問題ですよね。やっぱり元ネタに人気のあるパターンは厳しい。花ざかりの君たちへとかは良作だったと思いますけどね。堀北真希ちゃんがもうね。え?リメイク?なんの話ですか?w

原作好きが唸るような脚本と改変、そして新規の客層をひき込める魅力ある作品を作っていってほしいものですね。

うん、以上駄文でしたー。
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孤島パズル

ここにパズルがある。どうかあなたの手でこの小宇宙に秩序をもたらしていただきたい。

はい、という訳で今回は有栖川有栖先生の『孤島パズル』でございます。学生アリス2作目の作品にして本ブログではこのシリーズ4作品目、ついに現在発表されている学生アリスシリーズはコンプリートになりました。

1作目『月光ゲーム』がアリスと江神さんの出会いの話、3作品目『双頭の悪魔』が本作の後始末、4作品目『女王国の城』がこのシリーズの終章の序曲となっています。そして最終巻として予定されている5作品目はこれまでのフラグから江神さんの身に危険が・・・?

まあ、まだ世に生まれ出てない5作品目に思いを馳せるのは置いといて今回は2作品目『孤島パズル』について感想を書いていきますよ。

2,3作品目は基本的にEMCの紅一点、アリスの同級生有馬麻里亜のエピソードになっています。本作で殺人事件に巻き込まれ心に傷を負った彼女があてもなく旅行し彷徨った結果辿りついたのが双頭の悪魔の舞台木更村だからね。

ちなみに私は読む順序があべこべでしたがこのシリーズは順番通り読むのをお薦めします。一応読んでなくても不備はないように書かれていますが若干過去に何があったのかを察することが出来る作りになっていますので。特に『孤島パズル』と『双頭の悪魔』は注意。『双頭の悪魔』の記述からなんとなく犯人が分かってしまうかも。

ほい、じゃあ作品紹介~。

「伯父の別荘にいかない?」EMCに新しく加入した有馬麻里亜の提案で南の島でバカンスを楽しむことになった江神二郎と有栖川有栖。その島には彼女の祖父が残した時価数億円にもなるダイヤモンドの在りかを示すパズルがあった。宝探しに躍起になる3人だったが嵐とともに舞いおりた惨劇に巻き込まれることになってしまう。・・・こんな感じかな。

毎度毎度ですが頭があがりませんね。論理的に考えれば確かに答えは出せるようになっている。でもそこに気付かない、気付けない。読者への不敵な挑戦。これぞ本格ミステリといった感じですね。

『孤島パズル』という題名からも分かるようにクローズドサークルものです。外部への連絡が出来ない閉ざされた空間で起きる殺人事件。うん、ロマンですねー。

一応、マリア初登場作品なんですが今回はアリス視点だけで進んでいきました。2視点にする必要がない話ではありましたしある種当然ですが個人的にはマリアちゃんパートも結構好きなのでちょいと残念でしたね。

あとモチさんと信長さんは今回お留守番。このシリーズは探偵役の江神さんがクライマックスまで自分の推理をひた隠してしまうので(まあ、当然だけども)ミスリード役、そして物語を動かす役であるふたりが出てこないと少しさびしい感じでした。その分、3,4作目では頑張ってるんだけどね、このふたり。

確かに美しい論理で犯人まで辿りつくんですが今回はその後分からない部分を犯人の自白に頼るといった手法だったので全ての伏線を見事に回収しきって真実に辿りつくという感じではなかったですね。与えられた条件の中から必要なものだけを選んで使う感じでした。なので作品トータルの完成度は他作品には少し劣るかもです。

まあ、あくまで私の感じたことなので人によってはシリーズ最高傑作なのかもしれませんけどねー。

個人的には『女王国の城』が一番好きかな。というか当たり前ですが回を追うごとにどんどん緻密になっていってる感じですね。このシリーズは有栖川先生の一番始めの作品だけにさらに巧みになっていく先生の成長をみれるのも楽しみの一つなのかも。

うん、こんな感じ。自身2作目とは思えないクオリティ、本格推理を代表する作家の初期の名作を是非手に取ってみてくださいね。

葉桜の季節に君を想うということ

その鮮やかすぎる手際に読書の面白さを再確認させられた作品。

私はこの本ブログでよくストレートとか変化球とか野球に例えて作品を表すことがありますが、これは分類が難しいですね。変化球部分、ストレート部分そのどちらもが高レベルでまとまっているので。あえて表すなら本格派ピッチャーって感じですかね。

という訳で鮮やかな投球術を魅せてくれる今回の作家さんは歌野昌午先生でございます。本ブログでは4作品目になりますねー。密室殺人ゲームシリーズ以来の登場です。

ちなみに本ブログは最初の記事こそビブリア古書堂だったんですがもともとこの密室殺人ゲームの感想を書きたくて始めたという経緯を持っていたりします。それほどまでに面白かった作品。まあ、詳しくは過去記事参照してくださいな。こちらになりますね。

偶然なんですが、前回の『カラット探偵事務所の事件簿1』とも大分関わりがある作家さんだったりします。いや、私がそう考えているだけなんですが。というのも過去に紹介した作品にこれと同じ仕掛けが施されているものがあります。ですが・・・

同じ仕掛けでもそこは歌野先生、さすがと言わざるを得ない素晴らしい文章構成を魅せてくれました。こういう大仕掛けは仕掛けそのものがオチになりやすかったりするんですがその作品や本作では大仕掛けが物語全体の歯車、論理構成の一部になっており圧巻の文章力も魅せ付けてくれています。

長くなってしまったね。実際読み終わった後超興奮したんですよ。そういえばこの方はこういうことしてくる人だと分かっていたはずなのに全然気付かなかった。そして単純に文章も素晴らしかった。

はい、では作品紹介です。

主人公はある駅で身投げしようとした女性を助ける。そしてその女性とどんどん親しくなっていく。それと同時期に友人から保険金殺人に関わっている組織の調査を依頼される。主人公を中心に複雑な人間関係が入り組んでいく中全ての事柄に決着がつき真相が暴かれるときそこに隠されていた事実に驚愕することになる。・・・こんな感じですかね。

ちなみにこの紹介文も少しだけ意識して書かれている部分があります。もしこの記事をみて興味を持ち本作品を手に取って下さったら読了後改めてこの文を読んで頂けると「あ、こいつ考えてるな」と感じてもらえるのかと思います。

基本的にはカラットと同じく主人公である俺目線で進みます。そして一見似ている作品のようにも見えます。が、正直まるで違う作品ですね。個人的には乾くるみ先生だと『イニシエーション・ラブ』ほどのレベルになると勝負になるんですが『カラット探偵事務所の事件簿1』だと正直相手になってない感があります。格が違う。

というより今までの私の読書歴でもこれと面白さで勝負になる作品はかなり絞られますね。それほど絶賛の作品です。変化球を極めた作品、ストレートを極めた作品で五分五分といった感じですね。それほどまでにどちらの要素も高レベルで備えている作品です。

正直確実にこれより上と言える作品はないかも。『密室殺人ゲーム王手飛車取り』でも感じたことなんですけどね、この感じ。

ランク付けするなら間違いなくSランク。なお、私のランク付けは・・・

S:ハードカバーで所有したい作品

A:常に手元に置いておきたい作品

B:人に紹介できる作品

C:購入したことには満足できる作品

それ以下:何にも言えねえ

って感じですね。これに+-を付けつつ分類していく感じですね。本ブログはAがかなり多めです。一応基準としてはB以上だと思った作品の感想を書くって感じです。実はいっこだけ例外があったりしますがどの作品かは伏せておきましょう。

まあ、私の主観で判断しているだけなのであんまり当てにはならないですけどね。

とはいえ、変化球なんですよね。変化球要素も備えているんですよ。だから詳しく書けないのが少し残念。これ以上踏み込むと余裕のネタバレになってしまうので。

ただ、本当に美しい作品。時系列がばらばらだったりするのに最後にはきっちりまとまっている。圧巻の文章構成。そして読者に驚きを与えるトリック。煽り文の現代ミステリのベスト1という表現は間違いとはいえない作品ですね。

うん、こんな感じですかねー。ではではこのブログの原点にもなった作家さん、歌野昌午先生の傑作を是非手に取ってみてくださいね。

カラット探偵事務所の事件簿1

さて今回は『イニシエーション・ラブ』の乾くるみ先生の短編連作『カラット探偵事務所の事件簿1』でございます。

うん、未読の方に言っておくとですね、絶対にこっちを先に読んでください。順番はカラ→イニがおすすめです。じゃないと私が感じたように少しだけがっかりするかと思われます。いや、作品自体は面白いんだけどね。

詳しくは後述するとして、早速作品紹介にいってみよー。

高校時代の友人に探偵事務所を開くのだが一緒に働かないかと誘われた。その少し特殊な事務所の事情に昨年末に過労で倒れ、療養していた俺にとっては願ってもない申し出であった。浮気調査や信用調査は苦手としている、謎解き専門の探偵と探偵助手が様々な謎に挑む。実情は閑古鳥がないているのだけれど。カラット探偵事務所―謎解き専門!あなたの頭を悩ます謎を、カラッと解決いたします―・・・こんな感じですかねー。

雰囲気としてはですね、『謎解きはディナーのあとで』に似ています。ゆるゆる系コメディミステリですね。ただこっちは殺人とかが起きる訳ではないのだけれどね。

キャラが立ってるからかな?探偵役は超個性派ですし、俺こと語り手の助手の記述もなかなかユーモアあふれる感じですね。いちいちリアクションが面白いです。

1つ1つの謎、そしてそれを解明していく感じは普通に面白いかったです。胸がときめくというか。おお、そういうことやったんかーと。ひとつに気付ければすぐ分かる系の謎からこんなん分かるかぁ的な複雑な謎まで多種あるので飽きないですしね。

さて、短編連作なので一応エピソードひとつひとつに焦点を当ててみましょうかね。

File1 卵消失事件

事務所の慣れ染めが語られる第一話ですねー。謎の提示から解決まで一瞬なので私は全く分かりませんでした。うん、言われてみれば確かに不自然ですねこれは。浮気調査をしているんですが尾行やらなんやらしていた訳ではなく与えられた情報から真実を導き出しています。このシリーズの方向性を決めたエピソードですね。

File2 三本の矢

「武家屋敷」そう呼ばれている屋敷に弓矢が打ちこまれた。一体だれが、どうやって、何のために?というフーダニットとハウダニット、ホワイダニットというミステリの基本要素が全て詰まった作品。特にホワイダニットを読み解いていく過程は素晴らしかったですね。私は「誰が」はなんとなく分かりました。あくまでなんとなくですけどね。「どうやって」と「何のために」は正直見当つかず。というかかなりの力技だった気も。でもそれがなかなか面白いのですけどね。

File3 兎の暗号

分かるかこんなん。というのが感想。遺産に関して残された暗号についての謎解きですね。こんなんよう考え付いたなといった感じ。全く分からん。というか専門知識ないと無理なんじゃ・・・。ただ、まあふたりの会話部分だけでも普通に楽しめますので謎解きは探偵さんサイドに任せてとんとん拍子に進んでいくストーリーを楽しみましょう。

File4 別荘写真事件

作中最もラストがいい感じのエピソード。やっぱりどんな形であれ家族関係は泣かせるよね。謎も簡単過ぎず難し過ぎずなので読みやすいかも。まあ、案の定私は分からなかったんですが。ただ放置してある燃えた別荘に関しては何かしら欲しかったかも。一応意味はあったけどなんかこの部分だけもやもやが残ってる感じですかね。

File5 怪文書事件

なんかリアリティのある話でした。教訓は子供を産むなら責任は果たそうねといったところでしょうか。それにしてもこんなに大々的に犯行に及ぶ必要はあったのだろうか。読者的感想を言わせてもらえれば楽しかったのでいいんだけどね。このシリーズには珍しいフーダニットですので是非挑戦してみてくださいね。私?分からなかったです・・・。

File20 三つの時計

なぜ20に飛んでいるかは作品内でしっかり説明してくれているのでここでは省略。ふたりの過去の共通の友人が出てくるお話。時間軸が複雑という訳ではないけど入り組んでたりします。ここの謎解きもなかなか面白いんですが本作の大落ちも見どころの一つですね。

見どころの一つ、なんだけどね・・・正直これは読めました。謎解きは全敗なのに大落ちだけカラット解決しちゃいました。しかも相当早い段階で。だから少しがっかり。

言っちゃうと結構な仕掛けなんですが『イニシエーション・ラブ』という大作を読んだ後だともの足りないかも。だから二つ読むなら絶対にこっちを先に読んでください。

「こういうことしてくる作家さんなんか」と分かっていても絶対に騙されるのが『イニシエーション・ラブ』です。一方それを分かって読むと真実に気付いてしまう作品が『カラット探偵事務所の事件簿1』です。だから、読む順番は意外と大事かもですね。

こんな感じですかね。一応私の迷探偵ぶりを書こうかなと思うんですがネタバレになっちゃうかもなのでそれでもいいという方、そして既読の方だけドラッグしてください。

というわけでここから先はネタバレ注意です。

さて実際私が大落ちに気付いたのは序盤5,6ページですね。確信があった訳ではなくもしかしてこれか?と思った程度だったんですが。その理由としては・・・

1.これは乾くるみ先生の作品であること

2.登場人物、設定を紹介しているにも関わらず明らかに足りていない描写があること

が挙げられます。というか煽りで「きっと貴方は騙されるでしょう」なんて言われたらそりゃ警戒するよ。

そして回が進むごとに・・・

3.会話描写の不自然さ

が目立ってきます。注意して読むと私の言いたいことがなんとなく分かっていただけるかと思います。

最後に極め付けが・・・

4.最後のエピソードに登場するふたりの過去を知るキーパーソン

5.しかも過去の人間関係にも言及している

ここで確信でした。おいおい、本気でこれなのかと。

それでも乾くるみ先生ですからね。裏をかいてくるかもとも思ってたというか期待してたんですが素直にきましたね。素直な変化球と言っておきましょうかね。

でもでもなんとなく先が読めても面白いのは事実なのですよ。というわけで殺人やらなんやら出てこないゆるゆる系コメディミステリ、是非手に取ってみてはいかがでしょうか。

ふちなしのかがみ

ミステリは嫌だミステリは嫌だミステリは嫌だ・・・

というスリザリンを入りを拒否するハリーみたいな心境で別ジャンルの作品に手を伸ばしたんですよ。思いっきりホラーって煽りがあったし。うん、個人的にはね、ミステリから離れようとはしたんだよ?

買った後気付いたよ・・・。この人ミステリ作家じゃないですかっ(笑)そういえば昔なんかの長編読みました、確か。

はい、というわけで今回は直木賞作家、そしてメフィスト賞受賞、綾辻行人先生と親交があるという思いっきりミステリ畑出身の作家さん、辻村深月先生の短編集『ふちなしのかがみ』でございます。

一応ホラーというジャンルなんだと思います。そういうジャンルを私は『リング』くらいしかまともに読んだことがなかったので本当にそうなのかは判断しかねますが。あ、でもでも『リング』もホラーじゃない気も・・・。

題材がねー、とても懐かしい感じのものでした。花子さんにこっくりさん、未来の見える合わせ鏡とか。誰しも昔話には聞いたことあるような怪奇がテーマでしたね。それでいて、斬新で、面白い。

ではでは、作品紹介です。が、今回は短編なのでひとつずつ紹介入れていきますが、解釈の仕方が微妙な作品があったりするので少し私なりの解釈にも触れてみようと思います。というわけで・・・

ここから先は何時にも増してネタバレ注意です。

一応気をつけますけどね。本当にやばかったらドラッグしないと読めないという処置をとります。

1.踊り場の花子

若草南小学校の花子さんはトイレではなく踊り場にでる。花子さんにはその存在を表したもの、どうやったら会えるか、何をしてはいけないか、何をしなければならないか、そして出会ったものがどうなってしまうのかといったことを定めている7不思議が存在しており、子供たち、そして先生の間でも話題になっていました。夏休みのある日のこと、日直のため学校に来ていた教師の元に2か月前に教育実習に来ていた後輩が訪れることになるのですが・・・といった話。

さて、私が子供のころ一番怖かった存在ですね、トイレの花子さんは。誰しもが知ってる怪談なのではないでしょうか。そんな昔懐かしの存在をテーマにした作品がこちらです。

うーん、一番ホラー。そして一番分かりやすかった話ですね。とても読み易かったです。とても綺麗な文章構造でしたね。しっかりとした伏線をきっちり回収している、まさに短編のお手本のような作品。

実際早い段階で結末の先読みをすることが出来ます。ミステリ的には致命傷な気もしますがホラーとして考えれば素晴らしい演出だったと思いますね。迫っている恐怖を回避できないであろうことは分かっているのにあがこうとする人。先読み出来るからこそ彼の心理描写、どういう風に追い詰められていくのか、その恐怖の過程を楽しめる作品だったと思います。

2.ブランコをこぐ足

勢いをつけ過ぎブランコから飛ばされ地面に叩きつけられ亡くなった少女。本当にそれは事故だったのだろうか。少女は生前『キューピッドさん』なる占いにはまっていたという。彼女は何故死ななくてはならなかったのか?それは事故なのか、それとも祟りなのだろうか。・・・こんな感じ。

花子さんの次はこっくりさんですねー。こちらも子供のころ話題になる怪奇の筆頭です。

この作品も小学校が舞台になってるんですが結構生々しいお話でした。スクールカースト、簡単に言うと学校内秩序が主題になっているお話。団体活動ですし避けられないことではあるんですけどね、なんとなくこう・・・嫌な感じですね。本作は簡単にいうとスクールカーストのせいで起きてしまった出来事の話です。

そしてね、これは解釈が難しい話。ほのめかされる祟りの影。結局少女は何故死ぬことになったん?っていうのがメインテーマです。私なりに考えてみると・・・

十円一枚、動かす度胸もないくせに」という少女の生前の台詞とラストの描写からおそらく・・・

怪奇ではなく、少女が自ら行った行為が最悪の結果につながったのではないか

・・・という結論に至りました。

でもでもこの話で一番謎なのは誰が聞き手なのかという点だと思うのは私だけでしょうか?子供に話しかけるような証言をしてくる子もいましたし、その一方でおそらくある程度の地位にいなければみれないであろう診断書をみていたりするし。その話を聞いて回ってるお前は誰やねんと。言い方を変えると「私はどんな立場で証言を聞いているのか」が一番気になりました。まあ、答えはないんでしょうが。

3.おとうさん、したいがあるよ

認知症の祖母の家を掃除にきた主人公一家が見つけたのは家中から出てきた死体の山。自分たちの監督責任になることを恐れた主人公一家は死体を燃やしてしまいます。が、1週間後再び祖母の家の掃除に来るとなぜか主人公以外死体のことを忘れており、さらに家の中から死体が・・・。という話ですね。

おそらく最も解釈が難しいであろう話。そして最も恐ろしい話な気がします。

私ね、結局どういうことか分からなかったんですよ。結構読み返したんですが。ごめんなさい、読解力不足で。

で、他の人の解釈を求めて読書感想のブログを巡ったんですが・・・ぱっと見誰も答えを出せていないみたいですね。答えなんてないが正解なのかもしれません。

ちなみになぜ私が一番恐ろしい話だと感じたのかというと登場人物の死体に対する対応が怖すぎるからです。

冷静に、本当に冷静に。死体が目の前に沢山現れるという異常な状況にも関わらず。挙句の果てにそのためにあんなことまでしてしまうという・・・。人間って怖い生き物ですね。怪奇なんかよりもよっぽど。

一応、あくまで一応私なりの解釈も載せておこうかなと。正解だとは思わない、そしてネタバレ含みなのでスル―推奨なんですけどね。

結局死体のことを覚えている人間は主人公だけという結末なんですが私は主人公の妄想という説はとれないと思いますね。理由はこんな描写があるから。「ついこないだまで住んでいたけど、今空っぽだから」

つまりですね、人がいなくなっている描写があるんですよね。これがたくさんの死体なのだと思われます。なので「死体は存在した」ということが出来るのではないかと。

これはニュースで主人公の元彼に殺された郵便局員の話が流れていて、その顛末を知っているはずの母が何事もなかったかのようにしている描写からも裏付けられるのではないかと思います。死んだことはなくなっていない、にも関わらず主人公以外覚えていないんですから。

ということはおかしいのは主人公ではなくて・・・というのが私の解釈ですね。なぜ、忘れているのかは結局分からず疑問のままなんですけどね。

まあ、主人公も大概おかしいのだけれど。


うん、何が言いたいかというと結局真相は作者さんのみが知る・・・って感じなんじゃないでしょうか。いつの日かこのエピソードに対して解説をいれてくれることに期待しておきましょう。

4.ふちなしのかがみ

大きな鏡を取り出して俺につきつけてこういった。アンタの泣き顔わr

はいはい、ふざけてないで。ラフメーカーみたいなハッピーエンドならどんなによかったことか。

大きな鏡を用意します。自分の年齢と同じ本数赤いロウソクを用意します。ろうそくに火を灯し、それが鏡の中に全て写り込むようにします。鏡を背に立ちましょう。そして午前零時に振り向くのです。そこにはほら、貴方の未来が・・・。はい、こんなお話。

今度は合わせ鏡の亜種ですねー。これも一度は話題になったんじゃないでしょうか。実際は合わせ鏡を用意すること自体が子供には結構難易度高めなので実際にやったという人はいないと思いますが。

じゃあ、早速感想を。あ、ミステリだこれぇ・・・。今までの話はホラー要素あったからね、自分を騙してこれたんだけど。今回読んでるのはホラーだからと。うん、完全にミステリだったこの話は。ただ、やっぱ好きやわこういうの。

うん、正直早い段階で気付きました。確信したのは2回目の視点変化のお父さんの証言でしたねー。

気付いたけどうん、やっぱり面白かった。さすがの表題作といった感じ。私の好みを挙げるなら好きなのはこれか花子さんですかね。

5.八月の天変地異

クラスのいけてないグループに所属しているのが嫌で、実在しない友達を作り上げた。嘘の中から出てきた少年。偽りの存在。そうだったはずだった。あのひと夏の夢のような出来事が起こるまでは。そう、彼は現実に現れたのだった。嘘の通り、僕の親友として。・・・こんな感じ。

ラストを飾るのに相応しい作品でしたね。子供時代の夢のような出来事を書いた物語。ここでもスクールカーストが出てくるのだけれど、こっちは救いのあるお話でした。

総じて一番怖いのは人間であるという感想を抱くお話が続く中でラストに人の温かみに触れられる作品。一冊通してのラストとしても綺麗な締め方だったと思います。

うん、こんな感じでしょうかね。いつもとは趣向の違う短編集でしたがとても楽しめましたねー。是非是非手に取ってみてくださいねー。

双頭の悪魔

この時点で何もかもに解答を出す必要はなく、またそれは不可能である。

というわけで今回は読者への挑戦が3度挟まれた有栖川有栖先生の最高傑作とも名高い(というか傑作じゃないものが存在しないですよね、うん)『双頭の悪魔』でございます。

連続して学生アリスシリーズですねー。これで本ブログでは3作目。まだ買ってないですが『孤島パズル』も読むことを決めているのでそのうち本ブログで最も巻数を扱ったシリーズになることになりますねー。有栖川先生自体がおそらく最多登場な気がしますが。

ほいじゃ、さっそく作品紹介ですねー。

殺人事件に遭遇し心に傷を負った有馬麻里亜が気まぐれに始めた旅行。目的地は決めていなかったがひょんなことから芸術家の住まう人を寄せ付けない村に辿りつきその村に籠ってしまう。マリアが帰ってこないことを心配し彼女の両親が行動を起こすが彼女は帰ろうとしない。そこで彼女の友人である英都大学推理小説研究会(EMC)の面々に救援を依頼することに。EMCの面々は強行策に出て江神二郎がマリアの元に辿りつくが河が氾濫し村に閉じこめられてしまう。そして河の両側で殺人事件が発生。江神とマリア、アリスと望月と織田に分かれ双方で真相究明に動くことに。・・・こんな感じかな?

純粋なフーダニット。さすがでしたねー。王道なんだけどここまでしっかりしているのは珍しいですね、やっぱり。さすが有栖川先生といったところですねー。

目玉はやっぱり3度の読者への挑戦。ちなみに私の結果は・・・

第一の挑戦 「どうやって」だけは分かりましたが「なぜ」このような殺し方をしたのか、そして「誰が」この殺人を起こしたのかは全く分かりませんでした。

第二の挑戦 あてずっぽうでは犯人分かったんですけど、論理的には全然分からへんかったなあ。ちなみにこっちは江神さんがいない側で起きた殺人だったので探偵役どうするんやろうと思ってたんですがなかなか綺麗にまとまってますねー。

第三の挑戦 全体の真相を問うラスト。まるで分からへんかったですね。鮮やかな江神さんの推理に脱帽でした。

というわけで、私は完敗でした。読んだら確かにそうやと思えるんですけどね。探偵の能力ないですね私。

細かい部分までしっかり描写されているので真相を読み解くことは出来ると思うんですが気付かない、気付けない。読み返してこんなところも伏線やったんかーと楽しめるのが推理小説の醍醐味ですね、やっぱり。

河の両側で起きた事件を扱っているので今回もアリス目線とマリア目線で分かれています。マリアちゃんはかわええですね、やっぱり。青春って感じがしていいですよねー。学生アリスはこういう冒険要素が素晴らしいですからねー。

そして探偵役の江神さん。そのコミュニケーション能力の高さ、観察眼、行動力・・・まさに理想的な探偵役と言えるんじゃないでしょうか。ご都合主義といえばそれまでですが全てのステータスが高い感じですね。

登場人物が多いので整理が大変でしたねー。複雑に絡み合う事件をアリアドネの糸を手繰り寄せて一本の筋道を作っていくという美しい構造には脱帽でしたねー。

さてはて、中身についてはこんな感じです。是非美しい理論の帰結に感動してくださいね。

ただ、ちょっとあとがきで気になることがちらほらあったのでそれについても書いていきますね。

まず、有栖川先生は伏線と真相だけ決めたら文章は考えずに作品を作ってるそうです。あれだけ緻密なものを、ほぼ一発書きしているという事実。怖い。有栖川有栖という才能が怖い。

次に作家アリスシリーズの探偵役である火村英生の元ネタになったキャラの存在ですね。そんなに似てるかどうかは微妙なんですが確かに言われてみれば面影は感じられる気もします。また、作中のアリスが作家アリスシリーズを執筆しているという描写もあり、作家アリスに繋がる伏線が垣間見れたりします。

最後に私の作品の中でも一番長いという記述がありました。もちろん当時の話ですね。このシリーズの次回作はこれより圧倒的に長い作品なんですよと少し笑ってしまいました。長いけどさすがの名作なんですが。

うん、こんな感じですかねー。有栖川有栖の珠玉の名作是非読んでみてくださいねー。

月光ゲーム Yの悲劇‘88

今回は学生アリスシリーズ1作目にして有栖川有栖先生の長編デビュー作品を扱いますよー。新本格を代表する作家さんの始まりと言える本作、やっぱこの人すげえわと思わされた作品。

ちなみに一番読みたかった『双頭の悪魔』は入手済みで、なおかつ『孤島パズル』も購入予定なので学生アリスの長編作品は多分近いうちに全て本ブログに出揃います。そしてですね、さらに作家アリスの作品もひとつキープしているのでしばらく有栖川祭りになるかもしれません。有栖川有栖川ひとつ挟んで有栖川みたいな感じになっちゃうかも。

ついでにいっておくと綾辻行人先生も積んである作品があり、なおかつその紹介のために別の作品も扱うことになるだろうと思われますのでしばらくこの両巨頭メインで進むのかも。

さらにさらに、東野圭吾先生のあの名作とか、歌野晶午先生の最高傑作と名高いあの作品とか怪奇を描いたあのシリーズの続編とかも積んでいるのでしばらくミステリばっかかも。うーん、なんか別ジャンルの作品も買ってきますかね。

まあ、一応予告したけどその通りになるかは微妙です。読書は気まぐれなペースで続けていきますので。

ほい、じゃあ作品紹介です~。

大学入学から江神二郎という人物に惹かれて英都大学推理小説研究会に所属することとなった有栖川有栖は地獄のような資金集めのバイトを乗り越え夏合宿のために矢吹山へキャンプに行くことに。そこで偶然一緒になった3つのグループと仲良くなるが火山の噴火に巻き込まれ、さらに殺人事件に遭遇することとなってしまう。現場に残されたYというメッセージ。極限状態の中生き死にを賭けたサバイバルが始まる。・・・こんな感じですかね。

『女王国の城』からこのシリーズを読みだした私にとってまず最初の驚きはマリアちゃんがいないということ。あのキャラが好きなのにぃ・・・。次回作の『孤島パズル』からの出演らしいですね、彼女は。楽しみにしておこう。

ただ、その代わりにちゃんとヒロインはいます。この子もまた魅力的な子でしたね。一応今回のアリスはこの子と行動することが多くなっています。火山の噴火という特殊状況下ですし冒険小説的意味合いも強い本作においてふたりの関係はなかなかいい味を出していたりします。ただ、アリスとこの子のこの関係も事件に深く関わっていたりするの点がさすが有栖川有栖先生と言ったところでしょうか。

プロローグからいきなり噴火シーン。しかも殺人事件があったということを匂わせていましたねー。で、その時点で生き残っている人も全員出てくるので、次の第一章の時点で誰が死ぬかが大体分かります。まあ、プロローグと第一章を見比べただけなんですが。

実際はこの時点でいない人全員が殺されているという断言は出来ないんですけどね。火山の噴火で亡くなったのかもしれないし。ただ、そこは王道ミステリが得意なこのお方でした。いなくなる人の使い方が本当に上手かった。殺される人はもちろんのこと、外部犯の候補をこの特殊状況下で残しているのはさすがと言わざるを得ないですね。

進んでいく物語。そしてもはや恒例になっていると言える古典的ミステリ、そして有栖川有栖先生の作品ではお馴染みの読者への挑戦。はい、頑張ってみました私。でも全然分からへんかったよぅ・・・。

作中でモチさん(EMCメンバーのシリーズキャラ)がこんなことを言っています。

「僕は常々思ってるんやけど論理の松明を掲げた探偵があり得た唯一人の犯人の特定に読者を導くっていう、純粋なフーダニットというのは本当に少ない。」

そうかもしれません。が、本作はまさに論理の松明を掲げた江神さんが唯一の犯人を突き止める話になっております。確かにこの犯人以外ありえないというほど綺麗な論理でした。ひとつひとつ丁寧に読みとかれていく火山で起きていた出来事。綺麗に回収されていく伏線。そして、鮮やかに解き明かされる真実。まさに本格ミステリというべき作品だったのかなあと思いますね。

しかも全てが終わったあとのエピローグでも最後の伏線回収があり、こちらもまた綺麗な終わり方になっていました。これ本当にデビュー作なんかなあと思わされましたね。でも、この作品を初期に残せているからこそ有栖川有栖先生は本格を代表する作家になっていったのだとも感じ取ることが出来ます。

プロローグでの火山噴火、「君は人殺しなのか」、丁寧に紹介されていく登場人物、クローズドサークルの出現、殺人、捜査、繰り返される惨劇、疑心暗鬼に陥っていく面々、出される珍回答、そして鮮やかな推理劇。

まさに王道、ですね。美しい。心からそう思えます。

うん、言いたいことは書いたかな。ではでは本格の代表する作家の始まりの作品、是非読んでみてはいかがでしょうか。

これから自首します

読み溜めてあったストックがこれで尽きちゃったよぉ。いや、読んでない訳ではないんですよ。今絶賛読書中なんですけど、最近は時間あんまりとれなかったからなあ。オリンピックにオリンピックにオリンピックにネット麻雀のせいで。ネト麻の垢が消えてしまってね、新しい垢で頑張ってたからねぇ。オリンピックに出場している選手たちの頑張りとは比べられないけど。

で、今回は蒼井上鷹先生の『これから自首します』です。タイトルに惹かれたよね。しょ、小説っていうのはタイトルも重要な判断要素だから・・・(震え声)

実際『~荘殺人事件』みたいなやつだとよほど出だしがずば抜けて凄くないと買うには至らないし、それ以前に表紙やら宣伝文がしっかりしている、もしくは作家さんが有名とかじゃないと手を付ける気にもなりませんもの。

そういう意味では100点満点ですね、本作は。あ、無論ここに感想書いてる時点で中身も面白かったということですよー、念のため。

初めて読む作家さんですね。というわけで例のごとくウィキペディア先生のお力を借ります。短編で2004年の小説推理新人賞でデビュー。結構遅めのデビューなんでしょうかね、年齢をみると。作家さんだとそうでもないのかな?

作風に関しては書いてないなあ。質の高い短編で評価されてるみたいですねー。ただ私が本作で受けた印象だけだとコメディ調のような気がします。内容がコメディという訳でもないんですが、会話のリズム感というかなんというかそういうのが漫才みたいな印象ですね。硬くはない作品です。本ブログに載ってる作品だと『謎解きはディナーのあとで』に近い作品かなあと。

ではでは、作品紹介に行きましょう。

人を殺したから自首する。幼馴染からの突然の告白に男は驚いた。男には幼馴染に自首して欲しくない事情があったのだ。なんとかして隠し通そう。やだ、自首する。じゃあ、なんでお前は真っすぐ警察に行かずにここへ来たんだ?こんなやりとりから二人の友人である殺された男にもなにやら事情があったことを知り、男はそれを解き明かすことを口実に幼馴染を自首させないために色々策を練るのだが・・・。こんな感じでしょうかね。

まず着眼点が素晴らしいよね~。だってミステリで自首は御法度だよ?フーダニットがミステリの基本なのに自首なんかされちゃったら探偵の見せ場はどうなるのさって感じですからね。

ただ、しっかりミステリしてるのよね。自首したい男、自首させたくない男、そして急に自首しないと言い出した男の3人の思惑と行動、そしてその周りの人間の思惑と行動が結構複雑なひとつの物語を紡ぎだしているといった感じですね。ホワイダニットなんだけど、フーダニット要素も残っているという。自首がテーマなのにね。

ただちょっとご都合主義的過ぎんよぉというのも感じましたね。いやいやいやそんな偶然ありえないよみたいな突っ込みが出来ます。まあでも、小説だからね。仕方ないよね。

不自然であるとは感じます。ただ小説に天然ものは存在しないし、人が作るからこそ面白みがあるので。というよりこの作り話感が本作の面白さです。理由はある設定にあるんですがわざわざ書くほどのことでもないので実際読んで感じてみてくださいねー。

基本的には自首したい男(以下したい夫)とさせたくない男(以下させん夫)の会話で話が進みます。主人公はさせん夫ですね。したい夫は無口設定なので。この二人の会話がね、漫才みたいで面白い。

させん夫には彼なりの事情が存在し、その事情と殺された男にまつわる事情がひとつの事件を作っていきます。これが複雑ながらしっかりと一本の筋になっているのがよかったですね。したい夫は自首しなければならない等一部に関してはものすごく頑固なんですが基本させん夫を信頼して動いている感じ。まあ、その一部頑固な部分をさせん夫がどうするかがみどころなんですけどねー。

ただそこまでの驚きはないかもです。ストーリー展開的に読者が驚く要素は殺された男が抱えていた事情だけですからね。ここがメインの謎なのでこれでいいとは思うんですけども。あとの要素は比較的先読み出来そうではあります。

実際の私はどんでん返しが待っている読みだったんですがそんなこともなく、ストーリー自体は淡々と進みますね。会話とさせん夫の思考が丁寧に書かれているのでそうとは感じませんけどね。

ちなみに私は『仮面山荘殺人事件』と似たような結末になると思ってました。まるでそんなことはなかったですが。

ラストもいいですねー。少し含みを持たせた終わり方。読者に想像の余地を与えて終わります。よくよく考えると実際は何一つ解決していないんですがきっちりまとめたのかなあと思わせてくれるラストでした。

うん、こんな感じかなあ。ではでは、少し変わった「自首」ミステリ、手に取ってみてはいかがでしょうか。

女王国の城

最近変化球ばかり打ち続けていたからなのか、それとも本当に誰にも触れられないような剛速球だったのか・・・分からないけどそのストレートの美しさに感動してしまった作品。という詩的表現。

はい、今回は有栖川有栖先生の『女王国の城』です。15年以上の間を開けて満を持して登場した学生アリスシリーズの最新作です。そして、本格ミステリベスト10で1位に輝いた先生の最高傑作でもあります。(本当は名作と名高いこれの前作『双頭の悪魔』の方を先に読みたかったのは内緒です。)

今まで本ブログで扱った作品は作家アリスシリーズでしたが、今回は学生アリスシリーズを読むことにしてみました。ちなみに、先生のデビュー作は学生の方の一作目なのでこっちのシリーズの方が原点なのだろうと思われます。

ちなみに二つのシリーズの関連性は『46番目の密室』の感想で触れていますのでそちらを参照ください。こちらですねー。

イメージとしては作家アリスのアリスの立ち位置は完璧に相棒役、ワトソンポジションなんですが学生アリスはアリスが主人公の作品というイメージ。もちろん、探偵役は違う人なんだけどね。学生シリーズには冒険小説なイメージがあるのでそう感じるのかも。視点がアリスだけではないのもポイントなのかな?

じゃあ、作品紹介です~。

アリスが所属する英都大学推理研究会、通称EMCの部長である江神がアリスたちに行き先も告げず消息を絶ってしまう。EMCの面々は彼の下宿に残された情報を頼りに彼が向かったと思われる新興宗教・人類協会の聖地である神倉へ。そこで江神の無事は確認するが思いもかけず殺人事件に遭遇し、囚われの身になってしまう。決死の脱出と真相究明を試みる中、さらに惨劇は続く。閉ざされた女王の城の中で。・・・こんな感じでしょうか。

ザ・クローズドサークル。これぞ王道の本格ミステリ。そう思わせてくれる作品ですね~。ド直球です。読者への挑戦が添えられた作品ですがまさに理詰め、詰将棋みたいな作品でした。ちなみに私は解けませんでした(笑)

もちろん探偵役である江神が解き明かす真相だけでなく、物語全体が、表現の全てが結末へ向かっているという「美しい」という言葉がこれほど似合うストーリーもないやろうなあと思わされる出来です。

最初はですね、「めちゃ長いやんこれ」とか考えながら読み進めてたんですが(だって最初の殺人が起きるまで200ページくらいあるんやもん)終わったみてひとつも無駄な描写がないことに感動ですね~。あえて言うなら蘊蓄くらいかな、省いてもいいかなと思えるのは。でもこれも舞台の特殊性を際立たせるのに一役買ってるんですよね。

さっきも書きましたが作家アリスに比べると冒険要素が追加されているからかアリスが少し幼い印象を受けます。いや、超博識なんだけどね。実際EMCはなんやこいつらと思うくらい何でも知ってやがるんですが、作家アリスは少し大人の落ち着きがあるのに対し、結構行動的な印象を受けました。置かれた状況が違うからかもしれませんが。

まあ、別人設定だからね、しょうがないね。

またキャラクターも魅力的ですね。一応メインはアリス視点なんですがときたまEMCの紅一点、マリア視点になるのがまたよかったです。視点を二つにすることで同時に起きた二つのことを書けるというメリットももちろんあるんですが2人の状況の感じ取り方、表現方法の違い等などでそれ以上の効果を発揮している感があります。うまく言葉にできないんですが。

で、探偵役の江神がまたいいですよね。一学生でありながら現場で最も落ち付いて、時には大胆に行動し真相を究明する。ラストの推理のお披露目シーンもよかったですね。論理的に、それでいて鮮やかにひとつずつ謎を解いていく。そして、読者の私ですら読み進めて興奮した「今しかない」これぞ本格推理の名探偵といった感じです。まさにお手本。

さらにさらに推理劇で暴かれる真相以外にラストにもまだ明かされていなかった謎を用意しており、それらを片付けることで全ての伏線を回収しています。あの表現はこのためにあったのかとか何故この人はあんな行動をとったのか等が明らかになっていきます。それらは決して探偵が拾い残したピースを後付けで説明した訳ではなくこのラストのために事件があり、推理があったのだと感じ取ることが出来ます。

うん、こんな感じかな。正直入城あたりからは一気に読まぜるを得ませんでしたね。それくらい刺激的で魅力的な作品でした。THE 本格ミステリといった感じ。

さてさて、有栖川有栖先生の至高の名作、是非手に取ってみてはいかがでしょうか?

仮面山荘殺人事件

さて、今回は本ブログで初めて扱う作家さんです。日本屈指のミステリ作家東野圭吾先生の作品ですねー。普段あんまり読まないのよね。なんだろう、なぜか敬遠してる感じ。読んだことあるのは基本面白かったんだけどねー。

それでですね、これ読み終わった後とある本屋さんに置いてた東野圭吾なんちゃら~っていう解説本?みたいなのを立ち読みしてみたんですよ。そしたら思った以上に順位が下の方だった・・・。嘘やん、めっちゃ面白かったやん。

先生自身ももっと売れると思ってた作品みたいですね~。少しアンフェアな結末が賛否両論なんかな?私は気にいってるんですが。

じゃあ、早速作品紹介~。今回は私が考えるのではなく載ってるあらすじそのまま書き写しますねー。

八人の男女が集まる山荘に、逃亡中の銀行強盗が侵入した。外部との連絡を断たれた八人は脱出を試みるがことごとく失敗に終わる。恐怖と緊張が高まる中、ついに一人が殺される。だが状況から考えて、犯人は強盗たちではありえなかった。七人の男女は互いに疑心暗鬼にかられ、パニックに陥っていった……。

というあらすじです。これが少しアンフェアだと主張する方もいるようです。私はもちろん結末を知っているのでこのあらすじにおかしいところがあることも分かっていますがそれがどこかは指摘しないことにしておきましょう。

というか結構強引な設定だよね。嵐の山荘やら連絡が途絶えた孤島とかにすることなくクローズドサークルを作れる設定ではあるけど少し強引過ぎな気もしますねー。

ただきちんとなぜこんなことになったかはその都度説明みたいなのを入れてくれているので読んでる最中はあんまり気にならないかも。一応筋は通ってる気がするし。

フェア、アンフェア問題が来ると大体叙述を疑われるかもしれませんが読者に何かを誤認させるような技法は使われてないですね。あらすじの事件に関してもまあ、理詰めで大体分かります。ただ、事件全体を認識するのはほぼ不可能ですねー。どうなんだろう?誤認するしない以前の話な気もしますけど。

うん、書いてないんだよね。このストーリーのラストを読者が導ける道が用意されてないんですよ。感じとしてはいきなりラストに飛ばされる感覚ですかね。

ただし、これがアンフェアかと言われるとどうなんだろう?個人的にはセーフだと思うのですが。

そう思う理由は複数あるけどネタバレに繋がりかねないので伏せときますねー。ただ、確かにアンフェアと思われても仕方ない気もします。あくまで私はありかなという判断をしただけなので。

こんな感じかなあ。今回文章量少ないねー。別に面白くなかったとかではないので、一応念押し。普通にわくわくどきどきさせてくれますよー。

さてさて、人気作家の隠れた名作、是非手に取ってみてはいかがでしょう。
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