笑わない数学者

3日連続更新!まあ、その代わり来週更新ないかもなんですが。

今回は初夏を彩る新本格祭り(笑)のラストです。ってか『どんどん橋、落ちた』を見つけた時に一緒に買った作品が全部新本格だっただけなんですが。フィナーレを飾る作品は少し毛並みの違うS&Mシリーズ3作目『笑わない数学者』でいきたいと思います。

本ブログで扱うのは2作品目ですね。もともとこの作品だけは近いうちに読もうと思ってたので。『すべてはFになる』あとがきで作者さんが推してた作品ですからね。

それにしても早いって?いえいえそれは萌絵ちゃんに会いたかったからということで。あ、もちろん犀川先生にも。お二方とも魅力的なキャラクターですからね~。まあ、1作目を読んで一番印象に残るのはどうしてもあの人なんですが・・・。

さて、今のキャラクターという言葉、実は重要なキーワードだったりします。私も最近ちょこちょこと調べただけなんですけど綾辻先生、有栖川先生は新本格の第一世代と呼ばれるのに対し、森先生は新本格の第二世代と呼ばれます。で、その明確な違いがキャラクターです。あとあと駄文で扱うかもしれませんのでここでは軽めに・・・

第一世代はミステリを好む人の集まりであり(もっと簡単にいうと大体の人がミステリー研究会出身)、厳格に本格推理の決まりごとを守る人たちのことですね。詳しく知りたい方はロナルド・ノックスの十戒で検索してみましょう~。

一方第二世代はミステリも読むけど、他のジャンルも読んでいる人たちの集まりですね。ゆえに少しだけ脱線というかミステリではない要素を含む作品が多くなってくる世代です。

一応第三世代なんて言葉もあるんですがこちらは明確に定義付けされてないようなので保留でお願いします。

ちなみに第二世代の代表作家は森先生のほかに憑物落しで有名な京極夏彦先生が挙げられます。ほら、なんとなくキャラクターが重要ワードって意味が分かりませんか?第二世代はその作風もあってミステリでは相当な部数を売ってる世代ですね~。

はい、毎度毎度長々と語りますがそろそろ作品紹介の方へ行きましょう。

12年前のクリスマス、たった一晩だけ消えたオリオン像。それが三ツ星館の謎。天才数学者の謎かけ。そしてこの謎を解いたものを跡取りにするという。それから12年、誰にも解かれることなく、また触られることもなかった問題。そんな謎を抱いた三ツ星館に犀川創平と西之園萌絵が訪れたクリスマス、再び奇跡が起き惨劇の幕があがった。・・・こんな感じかなあ。

まず読んでて思ったこと。「おいおい、またクリスマス絡みか。」

『46番目の密室』もクリスマスなんですよね~。そしてかの有名なS&Mシリーズ、当然密室物だろうと思ってました。館の図面が最初に載ってましたしね。2回続けて初夏にクリスマスに起きた密室物を観ることになるとは思ってなかったので、少しびっくり。(この作品は買うの決定してたので立ち読みしてなかったのです。)

次に萌絵ちゃんが2年生になってることに少しだけ驚き。あれ?一作目が1年の時の夏だった気がするからもう1年以上経ってるやん、って感じ。でもでもよくよく考えると間にもう一作あるし、半年に一回くらいのペースで殺人事件に遭遇してるって考えたら妥当かなあと。まあ、殺人事件に遭遇って段階で非現実だと思うけれども。

ただS&Mシリーズって全10作のはずだから時系列的にもうちょい詰め込まないときつい気もしますが。どうなんだろ?時系列順に並んでる訳ではないのかな?

また脱線。いかんいかん。さて本作については実は私、メイントリック、もとい三ツ星館の謎は結構早い段階で分かりました。多分これだろうなって。いや、似てるトリックを知ってただけですけどね。今回はケータイのゲームですね。伊綱ちゃんと生王さんといえば分かるでしょうか?まあ、ゲームの方はただの推理で実際は違うトリックが使われてたんですけども。発想はほぼ一緒でしたからね~。

この目に映るトリックのインパクトだけなら『すべてはFになる』の方が上だと思います。私は、ですけど。ただ、ストーリーの出来はこっちの方が遥かにいいかと。メインふたりの関係、作者が意図する別の狙いなどなど。

もちろん、プロットも綺麗ですし、伏線の置き方、回収、結末までどれをとっても高いレベルでまとまっています。そのうえでミステリでない要素もうまく含めている作品ですね。本格にあまり興味のない方でも楽しめる作品になってると思います。

そして少し含みを持たせたラストもいいですね。少しだけ読者に投げかけるんです。作中の解はあくまで「不定」です。あなたは答えが出せますか?って。

さっきね、メイントリックって表現をしたんですがちょっと語弊がありますね。本作品の最大の謎は全体を通じて作中では答えが出せず、ラストの描写を知ることのできる読者にのみ推理が可能な作者さんからのこの謎かけですからね。

ちなみに(ちなみにって口癖みたいになってるなあ私)今の「知ることのできる読者」も重要なキーワード。・・・らしいです。なぜ「らしい」なんて表現を使っているかというと私は気付かなかったから、ですね。

実際私は作者さんが意図する別の狙いを普通に見落としてたんですよね。読了後作者さんの浮遊工作室ってサイトを観てみたんですよ。このサイトは『すべてがFになる』のときにも観ていたので。で、例の「逆トリック」ですよ。

でね、最後の謎かけ自体は気になってたんで多分これのことだろうと思いちょっと考えてみたんです。それに関するヒントも蛇足として頂いてましたからね。ほいで一応自分なりの答えを出したんですよ。でも答え合わせ出来ない。だから同じような感想書いてるサイトを少し巡ってみました。

すると、この謎かけを解いてるサイトとは別に違う点に注目しているサイトがあったんです。この違う部分に着目しているサイトを読んだとき、これは完敗だなあと。ここまで意図して作られてるのかあと。

これね、自力で仕掛けられているすべてのことに気付くのは難しいと思います。ただ、その気づいたときの感動、驚きは読者の特権です。全てを知った時感服せざるを得ない作品ですね。さすが、作者さんが一番の自信作としていることはあります。

ま、結構な数ネタバレ落ちてるのでここでは書きませんけどね~。

さて、そんないろんな驚きが詰まったこの作品、是非読んでみてはいかがでしょうか?

あ、それともう一つ作中では明かされなかった謎があるんですが、そっちの方は私の超苦手分野なので触れないで置きますね~。
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騙す技術、騙される快感

はい、今回は予告していた通り叙述トリックについての駄文を書きますよ~。

なおこの記事は『どんどん橋、落ちた』の補足の意味合いもあります。本筋の感想はこちらになります。→http://mitikusaboya.blog.fc2.com/blog-entry-14.html

さて、『どんどん橋、落ちた』の感想で私はミステリーにおいてフェアなアンフェアはアンフェアではないなんてことを言いました。そのフェアなアンフェアの代表格が叙述トリック。読者の認識、先入観を利用して事実を誤認させるものですね~。

私は、このトリックは大好物の部類に入ります。作者さんの腕の見せ所だからね。ただ、ミステリー史においてアガサ・クリスティの『アクロイド殺し』のフェア・アンフェア論争からはじまり、現状では一応認められているものの、多分嫌いだと思われる方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。確かに騙そうとして騙している訳ですからね。いい気がしないのも分かる気がします。

でもね、素直になりましょう?実は~だったみたいな事実発覚の時の驚きって、気持ちよくないですか?なんだろう、あの、「あああああああ、そういうことかああああああ」って思わず叫んでしまう感じ。騙されたのに、なにかこう悔しいというよりはやられたわ~みたいに思えてなぜか笑みがこぼれてくる感じ。テレビのドッキリ企画みたいなね。最後には皆笑顔というか。

圧倒的な驚きとそこまでうまく騙し切った作者さんへの敬意とエンターテイメントとしての面白さ。叙述トリックはそういったものを感じることができる、先人が残した技術なんですよ。

しかもね、先人が残してくれたにもかかわらず型がない。いや、大まかな分類は可能かもしれませんが全く同じものは存在しないんですよ。作者さんの味を思う存分発揮できる技術。作者さんによって全く違う色になる。だから、飽きることもないわけです。与えられるのは常に新鮮な快感です。革新的な技術だと思いませんか?

さらにさらに、この技法が使われるのはミステリーだけじゃないですよね。様々なジャンルの小説が存在しますが、かなりの数の作品に大なり小なり叙述トリックは使われていると思います。それだけ読者にインパクトを与えるには最適な方法であるということだと私は思います。

なんて熱く語ってみました。それじゃあここでちょっとだけ分類してみましょうか、大まかに。

ちなみに大まかに例示しますが作品名は書かないつもりです。そこまで多くの作品を知ってるわけではないですし、ネタバレになってしまうので。

1.登場人物の詳細を誤認させる

性別とか年齢とか人間関係とかですね。このパターンが一番多いんじゃないかな。そこまで大がかりにならないし。

2.時系列をずらす、場所が違う

これもよく見るパターン。実は2つの事件は全然違うタイミングで起きてたみたいなね。これも使いやすい部類な気がします。意外な犯人とかを作りやすいので。

3.私が~パターン(信頼できない語り手)

それこそ私が犯人パターンもあれば、ペット目線だったり、実は死んでるとかバリエーションは豊富。これもよくあるパターンですが仕掛けが大掛かりになることが多いですね。私の正体に気付くと簡単に真相に辿りつける場合が多くなるので。

あと私が感じたこと、認識したことを書くので私が誤った記述をしている(本人無自覚)みたいなのもこのパターンですね。

4.登場人物の人数をごまかす

これ名作に多いパターンです。ただしこれがメイントリックに座るので多分作品数自体は多くないはず。例えば私が二人いるとかですね。1章では私は~のことを指してるけど2章では違う人物にすり替わってるとか。逆に存在しない人に話しかけたりする実は人数が少ない的なパターンもあります。

こんな感じかなあ。この分類はもちろん私がてきとーにやったので正しいなんて言えません。大体前述したように作者によって同じものが存在しないものだから正確に分類なんて言うのは不可能でしょう。

さて、いかがでしたでしょうか?私の叙述トリック論。何度もいいますが私はこの技法は大好きです。プロットがしっかりしてないと出来ないですしね。まああくまで駄文ですので気に障ったという方は戯言としてスルーしてください。

で、最後に今回は『どんどん橋、落ちた』の補足的な立場をとっていますので一応綾辻先生にも触れましょうか。

綾辻先生はこの技法を得意としている作家さんです。基本最後に驚かされる。いい方が悪くなりますが騙しのプロ、ですね。もちろんいい意味で。

ただ、さすがだと思えることは無理な描写をしていないことですね。あくまでフェアであろうとしている。フェアの範疇で最大限の仕掛けを張っています。そこが尊敬の念を覚えるところ。そして綾辻先生最大の特徴ですね。

そうそう綾辻先生が最近書かれてアニメ化して話題になった『Another』についても一言だけ。この作品はいわゆる新本格といわれるジャンルではないです。(ないよね?なんか自信なくなってきたけど)どちらかと言えば奥様小野不由美先生が得意としている感じの作品ですね。

これもある叙述トリックで、しかもアニメという媒介を生かした技法で話題になったんですが・・・それは、アニメの方をご覧いただく、ということで。

【注意】ちなみに私は原作もアニメもどっちも観てません。が、どんなトリックが仕掛けられていたかはもちろん知っているし、作品の内容もほぼ知ってます。理由はこの作品ネタバレが異様に落ちているから。なのでちゃんと観ようという人はくれぐれもネットで調べるなんてことをしない方がいいと思います。

私は多分原作の方を先に読んで、その後で友人にDVDを借りるつもりです。原作の方は読んだらこのブログに感想を載せるかもしれません。そのときはまた、よろしくです~。

46番目の密室

本当は駄文で叙述トリックについて個人的な意見を書く予定だったのですが、思いのほかこっちが早く読めてしまったので先にこっちの感想を書いちゃいます。大体私が早く読めたといってる場合は寝不足になりながら睡眠時間を削って読んだということですね~。面白いと途中でやめられないじゃないですか。

というわけで初夏を彩る新本格祭り(仮)絶賛開催中の本ブログ、今回も新本格でいってみたいと思います。え?何そのお祭りって?今考えました。ただの思い付きですよ、思い付き。多分次回扱うのも新本格に当たる部類なので。

前回は綾辻作品を扱ったので今回は綾辻先生の相棒、有栖川有栖先生の『46番目の密室』について触れていきましょう~。

有栖川有栖先生といえば綾辻行人に並ぶ新本格の顔とも言うべき人ですが、実は私今回初めてその作品に触れることとなりました。いや、もちろん名前は知っていたし興味もあったのですが。私がここまでミステリーばかりを読むようになったのはごく最近のことで普段はジャンル関係なく冒頭の書きだしを気にいったものを買うってスタンスでやっていますので触れる機会がなかったんですよね。

だって本格系は作中でも言及されてますが部数が売れるジャンルじゃないですから。本屋さんがプッシュしないんですよね。だから手にとる機会が少なかったというわけです。まあ、海外ミステリーは結構読んでたんですが・・・。多分シャーロキアンの端くれと言っても過言ではないですし、ポワロシリーズも好きですし。ちょい昔の話なので内容よりもキャラ、探偵自体の魅力で読んでたというのが本音ですが(笑)

脱線しましたね~、修正修正。で、ひょんなことから私は歌野昌午先生の密室殺人ゲームシリーズと綾辻先生の館シリーズの十角館の殺人を手に取ることになります。ハマります。そして最近はミステリばっか読むようになったというわけです。伏線回収が絶対されるというのが気にいった要因になったのかと思います。

あ、一応補足しておくと別にそれまでに本格系の話を触ってなかった訳ではないです。ちょこちょこは読んでいるのですが、個人的主流ジャンルになったきっかけがその2作品だったという訳ですね。

長々と前置きしましたがこれも本ブログの特徴だと思って頂ければ幸いです。ではでは作品紹介にいってみよ~。

例年通り推理小説界の巨匠、密室の匠、日本のディクスン・カーと呼ばれる真壁聖一宅で行われるクリスマスパーティーに呼ばれた私こと有栖川有栖(本名)。例年と違うのは私の友人火村英生を伴っているということ。犯罪学の助教授である彼に真壁が興味を持ち、連れてくるよう私に頼んできたからだ。普段と変わらない気の知れた仲間内でのクリスマスパーティー。が、「白い」悪戯が仕掛けられたクリスマスの夜、惨劇の火蓋が切って落とされる。不可思議な殺人事件を前に火村と私が解決に乗り出す。・・・こんな感じかな。

作家である有栖川有栖が私としてワトソン役を演じる作家アリスシリーズの一作目ですね。ちなみにこの他の先生の有名シリーズとしてはデビュー作を含む学生である有栖川有栖がワトソン役をする学生アリスシリーズがありますね~。

ちなみに作家アリスと学生アリスは別人、というかパラレルワールドの人物に当たるそうです。作家アリスが学生アリスシリーズを学生アリスが作家アリスシリーズを書いているという設定なのだとか。ちなみにこの二人と実在する有栖川有栖先生も別人です。

つまり、「私」視点の作品であるということです。私視点で話が進むので話自体は比較的簡単に作れますが伏線回収等が難しいというのはちょい前にこのブログでも触れました。が、さすがは有栖川先生といったところでしょうか。その辺のデメリットは全然感じませんでしたね~。

そんな本作は序盤でキャラ魅せ、事件発生、捜査、結末というようなプロットで進むんですが意外だったのはキャラ魅せがなかなかしっかりしていたこと、ですね。結構なページ数を使ってました。もちろん必要な描写なんですが(伏線になるものも結構ありますし)。だから動機面でも考えさせる内容でした。考えさせるんですが・・・

フーダニット、犯人当ての作品として素晴らしい出来でした。犯人までの道筋は論理的なものでしたから。動機面は正直捜査の補助、ある時には煙幕、ミスリード用に使われていましたね。あ、もちろん犯人に動機がないわけではないですよ?むしろ結構な動機が存在していますし、それらの描写はただのミスリードという訳でもない。ここがまた面白いところですね。

以上のことから本作は密室と謳っていますがどちらかというと犯人当てに比重を置いた作品だと思います。先生も密室トリックはどこかしら読者が経験したことのあるものに落ち着いているはずとおっしゃってますし。ただ先生がクイーン風な犯人探しに密室の要素を足したものと定義しているように、犯人当てとしては素晴らしい出来です。まさにフーダニットのお手本といったところでしょうか。

作品中に地上の推理小説と天上の推理小説という単語が出てきます。今までの作品はあくまで地上の推理小説。だが本当の推理小説は未だ書かれたことがない、誰も観たことがない。そんな小説を天上の推理小説と定義しています。

そして先生は文庫版の付記でこんなこともいっています。密室小説の終わりと銘打たれるものは数多く存在するが未だに実際に終わりにできた作品はない。いつか密室の息の根を止める作品を目指していきたいと語っています。

私はまだ、先生の作品はこれ1作しか読めていません。ですが、こんなことを言われたら次も読むしかないじゃないですか。先生が最後の密室、そして天上の推理小説に辿りつけたかどうか、もしくは今後の作品で辿りつくのだろうか、そしてそれはどんな形の小説なのだろうか。そんな先生の作品に出会えるまでは、私は先生の作品を読み続けていきたいと、そう思いました。

新本格を代表し、遥かな道の先、そして推理小説の到着点の存在を確かに感じられ、そのスタートとなる本作品、是非読んでみてはいかがでしょうか。

そうそう、私が読んだのは新装版ですが、新旧どちらの解説も記載されていてその両方を綾辻先生が行っています。二人の仲に何かいいなあと感じれるそんな名解説ですので購入された方は是非最後まで読んでみてください。

どんどん橋、落ちた

綾辻、白川、風間、福本が魅せてくれたあの至高の1局はおそらく私の中で超えることのできない牌譜として残り続けるのだろう。(敬称略)

いやあ、生で観れへんかったことにはちょっと後悔しております。あとあとDVDレンタルしてきて観たんですが・・・なにあれ、漫画?って感じの展開。素人、玄人関係なく熱中できる、まさに魅せる麻雀でしたね~。

ってわけで今回はあの激戦を制した、新本格の旗手、綾辻行人先生の『どんどん橋、落ちた』でございます。

綾辻先生といえばやっぱり真っ先に思い浮かぶのは「館」シリーズですが、さすがに人気シリーズなのでこっちの方は探すのにあんまり苦労しないんですよね。大体どんな書店にも置いてあるというか。一方本作は私の近隣の書店全店回りましたがどこも置いてなかったのです。当然読みたいという気持ちは増していくばかり。で、こないだ偶然にも発見したんですよ、ちょっと遠出したときふらりと立ち寄った本屋さんで。はい、即購入です、もちろん。

ほいで、一気に読み進めた訳です。これがまた面白い面白い。さすが綾辻先生といったところですね。なので本ブログで取り上げる記念すべき綾辻作品の一作目はこれにしようと思い立ち、今こうして感想を書いている訳です。

それにしても新本格が異常に多い気がするなあ、このブログで取り上げてる作品。やっぱり好きなんでしょうね、こういういわゆる本格派推理小説。いや、別にいわゆる社会派といわれる作品が嫌いなわけではないですよ?松本清張先生や宮部みゆき先生、東野圭吾先生も社会派の方が多いかな?などなど興味はめちゃくちゃあります。実際読まない訳ではないですもん。

ただね、社会派の作品の方が世に受け入れられてるじゃないですか、どうしても。本格、さらに言っちゃえば新本格は人を選ぶというか、苦手にしている人も多いでしょうから。それはつまり世間的には社会派の作者さんの方が知名度が上ということになり、そうなると私の天邪鬼の部分が顔を出し、結局手を付けずに時が過ぎるパターンが多いですね。私の天邪鬼ぶりに関しては過去記事を参照でお願いします。この記事ですね→http://mitikusaboya.blog.fc2.com/blog-entry-9.html

とはいえ、新本格の中でも主力組の作品ばかり扱っている段階でかなりのミーハーなんですけどね、やっぱり。

うん、いつも通り前置きが長いなあ。じゃ、そろそろ始めますか。まずは作品の紹介からやっていきましょう~。

「読者への挑戦」という形で進む小説。。問題編と解答編に分かれる形式の作品群に綾辻先生自身が挑む。フェアプレイ、あくまでその範疇で進むフーダニット、いわゆる犯人当て。新本格の第一人者綾辻行人が叩きつける読者への5つの挑戦。「君はこの謎を解くことができますか?」・・・こんな感じですかね。

今回は話の内容ではなく形式的なことで紹介してみました。本作は短編5編を収録している作品で一応関連性が全くないわけではないのですが、内容の紹介で1つの作品としての紹介をすることは不可能であると判断したのでこんな形に。

さて、実は今書いた紹介文、ミステリにおけるフーダニットにおけるルールを実は破っていたりします。簡単に言うと正確ではない表現を使っている部分があるんですが、別にこの記事は本格ミステリの作品ではないし、それは重大なネタバレにつながる恐れがあるのであえて訂正せず進みましょう。

じゃあ今回の5つの挑戦状、私の結果を踏まえながら簡単に一つ一つみていきますか。

ネタバレはしないつもりですが、注意が行き届かないところがあるかもしれませんので一応ネタバレ注意ということでお願いします。

一問目 結果:不正解 分かったのは動機だけでしたね。犯行方法が分からずどう考えても不可能犯罪なので犯人がいないなんて訳のわからない結論にたどり着いてしまいました。解答編をみて思わずやられたと思った作品。

二問目 結果:不正解 綾辻先生と同じ結論にたどり着きました。が、これ不正解なのよね。言われてみれば確かに伏線は結構張ってあるんですが・・・無理だよ、気づけないよぉ。

三問目 結果:不正解 というよりこの章は「真相」にたどり着くのは不可能なのでノーカン扱いでもいいかも。唯一問題と解答が分かれてない作品。トリックはなかなか趣がある感じでした。さすがに伏線を張るのが上手いです綾辻先生は。まさに匠の技でしたね。

四問目 結果:不正解 おいおい大丈夫なんこれ?と間違いなく感じてしまう作品。だからこの章だけ実際の~なんて注意書きが最初にしてあったのね。タイトルだけじゃ気付きませんでしたが、最初に出てくる登場人物でネタに気付きました。内容自体はかなり秀逸な出来。綾辻先生もこの章が一番正統派とおっしゃってますし。いや、内容はダークだし、パロディとしては明らかに問題作なんですけども。

五問目 結果:不正解 トリック自体は分かりました。ただ問題には確かに答えられてないんですよね、私も先生も。まあ、このトリックは確かに素晴らしいですが本作を読む前に同じトリックを使った作品をみたことがあったので気付きました。私はコメディ風ミステリードラマ?ミステリー風コメディドラマかな?は好きなんですよ。トリックとか時効警察とか、・・・社名を背負った女子高生刑事の話とかね。まあ、社名変わっちゃったんですけど。

うーんこの完敗具合・・・。全敗じゃないですかあ。

さて、一応ここで前提知識の確認です。綾辻行人先生が得意としているのは叙述トリックである、ということ。これはある種ネタバレになっちゃうかもだけど。知ってても騙されるのが叙述トリックの素晴らしいところなのでご容赦を。ちなみにこれ関連は・・・

「アンフェアじゃないの?」

なんて議論がアクロイド殺しのころから未だに続いてますが、私的にはフェアなアンフェアはミステリーではフェアだと思ってます。これに関しましては後日駄文でまとめると思いますのでここでは触れるだけにしておきましょう。

ほいで、この作品に対する私の考えを述べていこうかなあと。きっかけはラストの記述の意味が分からなかったことに起因するのですが(これについては完全にネタバレなのでラストに回します)、答えを求めて本作の感想を述べられている方のブログやレビューなんかを読み漁りました。で、少し気になったことがありますのでちょいとお付き合いください。

「人が描かれていない」

これは綾辻先生によるあとがきでも触れられていたこと。デビューからずっと言われ続けてきたようです。

うーん、そうかなあ。結構愛着の湧くキャラクターもいるのだけれど、綾辻作品。あくまで個人的にはですけど。まあ、先生の作風上キャラを細かく描写することはできないのは事実だとは思います。

「これは小説?犯人当てのクイズやん。ただの言葉遊びやん」

意外にも多かったこの感想。確かに人を選ぶのかもしれません。確かに言葉遊びだし、確かに意表を突かれる。ちょっといらってなるのも理解できます。実際作品の中の先生もいらいらしてらっしゃいましたしね。これは多分人が描かれてないことに起因することだと思います。

でもね、私はこう思います。

「人が描かれることって重要なことなのでしょうか?」

前に私にとっての小説の話をしたことがありますがもう一度。小説とは背景描写、登場人物の動きなどのピースを使って一枚の絵を完成させることです。少なくとも私の中では。だから登場人物は、実際はただの駒なんですよ。駒を動かすことでストーリーを作り上げていく。ラストに楽しみ、悲しみ、驚き、教訓などを読者に与えるために伏線も、登場人物も、世界設定も存在するものだと私は思います。

だから人が描かれているなんてことは必ずしも必要ではないんです。きちっと一本の話がまとまっていること、これが重要なんです。念を押すようですが、あくまで私の意見ですけど。

例えば恋愛物のストーリーを完成させるなら人の感情を描くことはむしろ必須でしょう。いわゆる社会派ミステリーは人間関係をしっかりと描写していなければただの駄作になってしまうでしょう。

でも本格ミステリーは、すこし事情が違います。これはトリックを使って読者に驚きをもたらすものですから。大事なのは人ではなく、いかに理路整然と話がまとまっているかが重要なんですよ、やっぱり。作中の綾辻先生がおっしゃっているように不必要なら動機だっていらないんです。ひとつの話として読者に魅せ付けれるものがあるのならば。

だから、本作は立派な小説です。これが言いたかったこと。もちろん独りよがりで稚拙な論理展開ですけど。

うん、こんな感じかなあ。言いたいことは大体書いたはず。

ミステリー界の巨匠が送る読者への挑戦状。是非受けて立ってみてください。

ここから先は本編の内容に関わる話なので特にネタバレ注意です。一応ドラッグしていただければみれるような形を取らさせて頂いていますので大丈夫だという方のみみてください。


私はどうしても最後の記述の意図を読み解くことができませんでした。まだまだ未熟者ですので。で、しっかりとそのメッセージを読み解いた方がおられましたのでその答えをここにも記しておきます。

甲虫=本格ミステリー 蟻=過去作品を踏襲しつつ、本格ミステリーを書いている現代の作家たち です。

どういうことかというと、ミステリーはどうしても過去作品が築きあげてきたものを模倣しつつ作らざるを得ません。だから甲虫、先人達が作り上げてきた本格的ミステリーという歴史、文化を使って作品を書いていく蟻、本格ミステリーの作家達、自分もその蟻のひとりであることを示しているみたいです。この様を「食い荒らす」という表現で表わすところが先生らしいといえばらしいですね。

つまりこれは先生の決意表明。本格ミステリーを書き続けていく、という。自分がこの世界で生きていく、確かに批判もあるだろうし、自分の中でも正しいかどうか分からない、それでも私は本格ミステリーを書き続ける、という。


綾辻先生の苦悩と決意が感じられる本作は、やはり先生の代表作のひとつに挙げられる作品ですね。

以上、勝手な自己解釈と私的な感想でしたあ。

恋愛物対決っ!

3冊ぐらい新たに小説を仕入れてきました。全部ミステリなんだけども。あれ~おっかしいなあ。ジャンルは選ばない人だった気がするんだけどなあ私。ミステリーは論理的なの多いし簡単に驚きを得られるから好きですね。何かあるととりあえずミステリーに手を伸ばしている気がする。とにかく、読み次第感想を書いていきます~。

さて初恋の感想のときに個人的にエピソードがある・・・みたいな話をしたので今回はそのことについて語ります。ぐだぐだと。まあ、明らかに駄文なのでてけとーに流してくださると嬉しいです~。

忘れもしない高校時代のこと。私が初恋を読んでたぐらいのころ世間にはケータイ小説ブームが到来してました。簡単にいうと恋空ですね、恋空。この作品がクラスで異様にはやってたんですよ。まあガッキー主演で映画化、さらにはドラマにもなるというくらいの人気作。ケータイ小説全盛期を代表する作品といえましょう。

ところでこの作品、話題になると批判も出てくるもので結構バッシングを受けた作品でもあるんですよね。ネット民に始まり著名な批評家まで結構広い範囲で批判が続出しました。アンチが湧くのは人気作の証しといいますが。一応念のために・・・

ここから書くことはあくまで私個人の感想ですし、戯言ですので聞き流してください、ね?

はい、実は私もこの作品は擁護できない人です。友達が面白いからと私に手渡してきた書籍版・・・上巻の3分の1で挫折しました。一旦手をつけたら最後までやりきるというのがモットーの私でも匙を投げざるを得ませんでした。だって悲劇悲劇アンド悲劇って感じの畳み掛けが順序良く並んでるだけなんだもん。正直構成も何もあったもんじゃない感じだったんだもの。事実の羅列なんだもの。とりあえず出来事の間に救いを入れてまた不幸な出来事が起きてを繰り返してるだけだもん。

実はこれしょうがないことなんですけどね。ケータイ小説は実際は万人に受け入れられるように作る商業作品とは違い、共感できる人が楽しむものだから。実際中高生の間では大人気になってますからね。共感を呼べる中高生に対して向けられた新しい文学の形なんですよ。だから受け入れられない人には絶対に合わない作品なんです。

だからこれはそれを書籍化して対象を広げすぎた出版社のミスです。中高生、共感できる人たちの間で楽しむという本来の機能を果たしていれば当然批判なんか起きるわけがないんですよ。

で、どうしてもこれを面白いと思うことができなかった私。若気の至りというかなんというか友達にこんなことを言います。

「いやさすがにそれ面白いとかねーわ。今度個人的に面白いと思う作品持って来てやるよ」

いや、ファンの人ホントにごめんなさい。この時の私は自分が面白いと感じる物以外つまらないという厨二的発想をしていたので・・・。今はそんなことないよ?こんなこと口が裂けても言えないよ?当然話を合わせて「いい作品だったね~」くらいのことは言うよ?

そして持ってきたのが前回紹介した初恋だったというわけさ。その友人はとても器が大きいというかやさしいというか自分の面白いと思ったものを完全に否定しにかかっている当時の私を許容し、ちゃんと読んで来てくれたわけさ。そして一言。

「これ面白いねえ」(満面の笑みで)

いいやつすぎる・・・。

褒められたことで言い気になり達成感を味わう私。別にお前が書いたわけでもないのに。今になって思う。大人の対応って彼みたいなことを言うんだなと。そして今になって思う。

完全に黒歴史だこれぇ・・・

枕に顔を埋めて足をパタパタさせながら恥ずかしがるレベルの黒歴史。

初恋

私は多少偏屈な読書の仕方をしていると自負しています。序盤の伏線が結末で綺麗にまとまっているかを重視する読書法。だからネタばれは全然平気だし、同じ小説を2,3回は繰り返して読まないと気が済まないんですよね。設定がどんだけ刺激的だろうと、結末がどんなに奇想天外なものだろうとあくまでそれらはオプション。うん、うまく言い表せないけどラストに向けてまとまっていく感じが好きなんですよね。

ただ、私はこんな感じの読書を生まれてこのかたずっとしてるというわけではないのです。文章の綺麗さを求めるようになったきっかけとなる作品があります。それが高校時代に出会ったこの作品。中原みすずさんの『初恋』です。

というわけで私にとって思い出深い、そして最も大切な作品のひとつである『初恋』についての感想を書いていこうと思います。
 
購入のきっかけはこの作品も映画化です。うーん、このミーハー。宮崎あおいさん主演でしたね。ただ映画版はなぜか一番大事であるはずの手紙のシーンをほぼオールカット、謎のオリジナルシーン付け加えなど原作読んでからだとちょっとがっかりする内容でした。あ、あおいちゃんはとても可愛かったですよ、もちろん。

読了後ちょっとした個人的エピソードがあったんですがそれは別の機会に話すとして・・・

早速始めましょう。まずは作品紹介~。

府中3億円事件。未解決のまま時効を迎え、未だに真相は闇の中になっている。これはその犯人の独白。学生運動一色に染まった時代。ジャズが流れるひとつの喫茶店を中心に彼女の「初恋」と「青春」の物語が流れていく。そう、あの事件の実行犯は当時まだ18歳の少女だったのだ。って感じですかね。

そう、犯人の独白。登場人物視点で進む物語です。だから先ほど先生とは呼ばなかったんですよね。中原みすずさんが主人公の物語だから。

さて、こういうあるひとりの登場人物の視点で固定されているという構成ですがメリットは話を作りやすいことです。だってその人物にその場であったこと、感じたことを語らせればそれがひとつのストーリーになるのだから。

ただもちろんデメリットも。それは伏線回収がしにくいことと同時に起きている違う出来事を書き表せないことです。その人物がみたこと、経験したことしか描写できないので当然といえば当然です。後者はそれでもまあ、どうとでもできます。ただ前者、これが厄介です。置ける伏線も限られ、その人物がストーリーの出来事を完璧に把握できる訳ではないのでどうしても回収しきれない伏線が出てきます。しかしながら・・・

このデメリットをうまく消しているのが本作。ところどころに置かれた伏線をしっかり回収しきって綺麗に結末までまとめています。これをみて私は文章構成の美しさを知りました。衝撃でしたね。ほとんどすべての描写に意味があるんですよ。後から読んでみて、だからここにこういう描写が置いてあるんだということに気づき、それに感動すら覚えるレベル。

これはプロットをうまく調整しているからかなと思いますね。登場人物を増やしすぎず、また描写を深くしすぎないことでどっちかというとモブに近いキャラを目立たなくさせ、メインの二人、及びほか数人に注目を集め、彼らをうまく動かしています。

もちろんストーリー自体も面白いです。多少甘ったるいと感じる部分はあるんですが(主に台詞回しが)、3億円事件と二人の恋愛とは呼べないような微妙な関係を中心に一人の女性の半生をうまく表しています。読者に向けてのあるギミックもありましたしね。結構驚きがあったりします、実際。

本作には美しいという言葉が似合うのかなと。構成もストーリー自体も。ストーリーは儚いものの美しさという感じですが。

で、当時高校生だった私は本作を読んでからこういう作品が面白い、こういう作品をもっと読みたいと思うようになった訳ですね。だから構造の美しさを重視するし、これからもそのスタンスで読書を続けるのでしょう。

本作は200ページにも満たない、短編といってもいいレベルのとてもあっさりとしたもの。読むのにそんなに時間がかかりません。でも、私は今でもたまにこの作品を読み返しますし、未だにこの作品は驚きを提供してくれます。

私の人生の中でも未だに頂上グループに君臨し続ける本作、是非読んでみてください。

すべてがFになる

西之園萌絵と犀川創平・・・はい、もちろん知ってました。新本格の中でもかなり有名な部類に入るコンビですからね。興味はね、なかったと言えばうそになります。ただ、本作を読むのは実は結構躊躇してたんですよ私。理由はこんな先入観によるもの。

「理系ミステリ・・・文系人間な私には合わないんじゃないか?」(実際科学とか物理とか大嫌いです。数学は言わずもがな)

「というより登場キャラが理系的な感じの人なんかあ」

そして・・・「シリーズ結構出てるからいまさら読むのもなぁ」とも思ってました。

なので、知ってたけど読んでなかったシリーズでした。ですが最近になってとある場所でこのコンビの紹介?みたいなのがあってですね、興味を惹かれたので手を出してみようかなと。

というわけで今回は森博嗣先生の処女作、S&Mシリーズの記念すべき一作目にあたる『すべてがFになる』です。

ちなみにS&Mシリーズは全10作、ただその後別のシリーズとも関係してくるので実際は20以上の作品を擁するご長寿シリーズといっても過言ではない人気シリーズです。S&Mはもちろん探偵役の二人のファーストネームの頭文字からとっているものです。傾向としては密室が多いようです。断言はできませんが・・・まだ読んでないので・・・ごめんなさい・・・

本作はもともと5連作の4作目予定だったそうですがインパクトを残すという理由から1作目に持ってこられたのだとか。そのためあとからさらに5作足して全10作となったようですね。で、見事に作戦は成功。本作は第一回メフィスト賞を受賞しました。メフィスト賞は講談社さんの新人賞みたいなものです。

一応ウィキペディアを参照しているのでここまで間違いはないと思います。

で、ここで大事な注意事項。

この作品を読む前にウィキペディアをみちゃだめです。面白みが半減します。本作に関しては相当凄いネタバレがしてあるので。

長々と前置きしましたが、いつも通り作品紹介から入りましょうか。

愛知県のある孤島。そこに建てられた窓のない建物。そこに住まうは天才プログラマー真賀田四季と彼女のもとに集った研究者たち。過去に起きた悲劇のせいで最新技術により完全管理下に置かれているその建物にひょんなことからゼミ旅行で島にキャンプに来ていた学生・西之園萌絵と助教授・犀川創平が足を踏み入れた時予期せぬ惨劇の幕があがる。こんな感じかなあ。ちょい違う気もするけど雰囲気は伝わる、よね?

本作の時代背景は1994年夏の設定です。本作ではまだPCとかネットとかが当たり前とは言えない時代に当時の最先端ともいえる技術の塊である建物の中で起きた密室殺人を取り扱っています。今読んでも近未来施設っていう印象を受けますから。トリックは正直かなり斬新な気がする。かなり専門用語が飛び交いますし。ある登場人物の台詞を借りるなら・・・

「どうやったらあんな芸当ができるのだろう。情報が不足している訳ではないよ。考えが及ばないだけだ。」

という感じ。謎解きの段階では興奮が止まりませんでした。メイントリック自体はまあ、ありえなくはないんですけどそのときの伏線回収があまりにも見事なので。そんなとこからも情報拾ってくるのかあって感じですね。感嘆。

本作の構造はいわゆるコンビ物ですね~。ただし萌絵と創平の関係は学生と助教授ですがホームズとワトソンというよりも違うタイプの探偵が二人いるイメージですね。とにかく積極的に行動して頭の回転の速さで勝負する閃き、直感型の萌絵と与えられた情報を吟味し筋道を立てて思慮深く物事を考えるタイプの創平の二人の探偵がお互いの持ち味を生かすことで真相にたどり着くという構造。

複数探偵役がいるメリットはちょっと前の記事で話しましたが、本作でもミスリードで数回、そして真相発覚でもう一度、さらに結末でもう一回と何度も驚きがある構造になってます。読者を飽きさせない工夫ですね。

そしてもちろん二人とも、というよりメインの登場人物はなかなか個性的なメンバーですしね。読む前はポケモンの理科系の男みたいな人が話を動かすっていうを想像してましたからね。まさかキャラが好きになるとは思ってなかったです、恥ずかしながら。

実際は最初の会話の段階で「これは多分面白いな」と思ってたんですけどね。伏線を大量に貼りに来てるなあというのが見えるので。ただ、その段階ではなんのこっちゃ分からないし、凡人の私は説明されてもちんぷんかんぷんだったりしたんですけどね。あ、もちろん文章が読みとけなかったわけではなく専門的な用語が分からなかったってことですよ?文学としてはとても完成されていて読みやすいですから。

緊迫感には欠ける印象ですが、純粋な頭脳戦としては素晴らしい出来ですね~。読んで損するなんてことは絶対にない作品。是非読んでみてくださいね~。

最後に・・・キーワードは「すべてがFになる」

なんて意味深ですかね?

【追記】ごめんなさい、なんか書こうとしてたことで抜けがあったので少しだけ加筆します。

まず、この作品にはもうひとつ私が興味を惹かれた、私と結構関わり深い描写があったりします。何かは伏せさせていただきますが・・・。

あとこのシリーズですが興味はあるので読んでいきたいと思っています。たださすがにすべては触れないと思います。なにせ多いんだもん。私基本シリーズ物読まないんだもん。

なので多分次は作者さんが推している3作目の『笑わない数学者』になるかと思います。その次は分かんない。立ち読んで冒頭が一番面白かったものにしようかなあ。

多分ぐだぐだ気長にやっていきます。なのでこのシリーズに関する記事はおそらくしばらく更新されないのであしからず。

バトル・ロワイアル

昨日記事を書いてたらなぜか急にPCが落ちて挫折しました。長文だったのに・・・。

はい、というわけで今回は『バトル・ロワイアル』です。前回の『誰がための刃 レゾンデートル』で触れたので読み直しました。うん、やっぱり面白いですねこれ。

バトロワさんと言えば映画版が有名なのではないでしょうか?今じゃ考えられないくらい豪華キャスト。というよりこれを機にブレイクした方が結構いましたよね。原作とは多少ストーリーが異なるものの映画というメディアで考えればとてもいい改変だったと思います。

しかーし、やはり面白いのは原作なのですよ。映像化に限界のある作品ですしね、これは。ってわけで早速いってみよう。ただ、その前に・・・

今回は先にこの作品にまつわるエピソードに触れましょう。

この作品は出版されるまでにちょっと複雑な経緯を持っています。事の発端は第5回日本ホラー小説大賞最終選考まで遡ります。最終選考前の下読み選考から大賞確実の問題作があると評されていた本作。当初の予想では圧勝のはず、だったんですが最終選考で酷評され、落選。ちなみにこのときは全部門該当作品なしになってます。そのときの選考委員の名前は伏せさせていただきますが、まとめるとこんな感じ。

「小説としての出来は確かに一番。ただ中学生が殺し合う内容が倫理的にNG。」
「某有名ドラマのパロディ等不愉快な表現がある。」
「この作品を大賞にするとこの賞にとってマイナス。」
「こういうことを考える作者自体が嫌いなんです。」

言いすぎだろ、さすがに。だいたいホラーで倫理的にダメってなんだよ。虐待の末亡くなった息子の霊が家族に復讐するやら、ただ単に人を惨殺し続ける作品とかやばいのはもっと他にあるだろう。日本の小説では大体の作品で人が亡くなるんだから。しかも文学賞なのに作品の構成じゃなく中身だけで判断ってどういうことなんだよ。

なんて文句を言いたくなります。で、その気持ちを代弁するようにこんなようなことを歌人の枡野浩一先生がコラムで述べたんですよ。それに編集者が目を付け刊行に至るといった感じ。こうして問題作『バトル・ロワイアル』は世に送り出された訳です。

実質ホラー小説大賞の酷評が作品に話題性を付加してしまったという皮肉な結果に。まあ、そんなのなくともこの作品は多分話題になっているとは思いますけども。かくしてバトロワは知らない人の方が少ないような超人気作となったのでした。

でね、ここまでみると作品の内容だけで人気作になったという印象を受けると思うんですが・・・この作品の最も優れているところは舞台設定やらキャラクター描写ではなく緻密なプロットと雰囲気に合わせた文体だと私は思っています。

とりあえずここで作品紹介~。

世界大戦を潜り抜け、東洋の全体主義国家として存在する大東亜共和国。その国では国防上必要な戦闘シュミレーションとして全国の中学3年生から任意に50クラス選び出しクラスメイト同士で殺し合いをさせる殺人ゲーム「プログラム」が行われていた。生き残ったひとり優勝者のみが家に帰れるという過酷なゲームに巻き込まれた生徒42人による生き死にのゲームが幕を開けた。・・・こんな感じですかね。

確かに内容だけみると生々しい。なんとなく倫理的にもアウトな気もしますね、これ。まあとっくに世に出てきてしまってるのでいまさらいうことではないか。「ってかホラーじゃないじゃん」って突っ込みが入りそうだなと思いますが、作者さんによるとこれだけの長文を受け付けてくれる賞があまりなく、一番違和感がなさそうなところに応募したのだとか。

そして当然内容も面白いですよ。明らかに異常なくらいタレント揃いのクラス、一人ひとりに用意されている人間ドラマ。ルールを受け入れる者、抵抗を試みる者、錯乱する者をうまく書き分けることで40人超える登場人物のひとりひとりがしっかり描写されています。大筋のストーリーもラストまで目が離せませんしね。

でもやっぱりバトロワの素晴らしいところは40人以上登場人物がいて、なおかつ視点が次々に入れ替わる群像劇であるのにプロットが破たんせずラストまでにきっちり読ませるところかなと思いますね。視点の入れ替え、それによる文章の長短により緩急をつけることでありえない設定をリアルに表現しています。

また文体も暗くなり過ぎないようにする配慮を感じられます。時たま入れてくる微笑ましい描写も本作の味のひとつ。夢を語り合うシーンとか告白なんかもあり重いテーマながらふっと気を抜ける、それでいて急に話を動かしさらに恐怖を煽ってくる。こういう複数の役割を果たすシーンが多いです。だからこそ文章に深みがあるんでしょうね。

あ、あとキャラの退場のさせ方、タイミングがうまいですね。効率的に退場させることで本筋がばらばらにならないようにしてました。退場って言い方はどうなんだろ?ここでは退場=死ですからね・・・。

こんな感じかなあ。言いたいことがうまくまとまってない気もしますが・・・。

とにかく、面白い作品ですので是非読んでみてください。

はい、じゃあここからは~

ネタバレを含む可能性がありますので注意してください。







私はですねー、『バトル・ロワイアル・インサイダー』という解説本も持ってるのでちょっとストーリーの内容にも触れてみたいと思います。ちなみにこの本は半分が原作、半分が映画版について言及されてます。

まず、誰が一番殺しているか?

はい、筆頭はあの男の子、そして次点があの女の子です。ここまでは予想通り。ただもう一人複数人殺している生徒が存在します。それは灯台でマシンガンをぶっ放した彼女です。意外。ちなみにこのシーンはバトロワきっての名シーンです。っていうか複数殺しているのはわずかに3人だけなんですね(見落としてたらごめんなさい)。手を汚してない生徒も結構いました。ちなみに主要グループの3人は一人ずつ殺していることになってます。

退場のタイミングは?

約丸2日のゲーム中24時間生き残れなかったのが22人(多分)。大体退場させる時間は均等に分けていたみたいです。ちなみに生き残ってる人を分類すると、中盤の見せ場のために残しているグループ、終盤まで残り、ドラマが多く描写される主要グループ及び人物、そのドラマを描くために引き立て役として残されている人物、物語終盤に恐怖を残すための退場要員って感じかなあ。きっちり役割分担がなされていますね。しっかりとしたプロットがなせる技でしょう。

実際この作品は時間的なプロットと場所的なプロットがしっかりしていなければ完成させられません。それだけでも複雑な構造なのにそれを42人+αでやったのですから作者さんの技量には拍手を送らざるを得ません。確かに内容だけ見れば残酷かもしれません。ですが、この文学としての美しさはそれを補って余りあるものだと私は思います。

以上です~。

ちょっと反感をかいそうな書き方をしていますが、あくまで小説の中の出来事ですから、小説の構造として面白いですよ~と言いたかっただけなんです。不快に思われた方がおりましたらこの場を借りて謝罪します。申し訳ありませんでした。

天邪鬼?ミーハー?

どうでもいいけどなぜ私のPCは「たがため」がちゃんと変換されないの?馬鹿なの?

というわけで、前回『誰がための刃 レゾンデートル』の感想を書かせて頂きました。その中で島田荘司先生について少しだけ触れました。が、実際には私は先生の作品は『占星術殺人事件』しか読んだことないんですよね。なんか文面だけ見ると凄いファンです的な感じになってましたが。

私はね、多分天邪鬼なんですよ。有名な作家さんの作品はあんまり読んでない気がします。まあどんな話かは大体分かるんですけどね。ネットなんてネタバレの宝庫ですし。

ただね、一方では凄いミーハーだったりするんです。映像化した、何かの賞をとった等話題になったものには結構片っ端から手を付けているんですよね。実際今までこのブログで触れた作品は何らかの賞絡みですしね。ちなみに『占星術殺人事件』もドラマ版金田一少年の事件簿お蔵入り事件があったから読みました。日本ミステリが誇る名トリックでしたね。

他の例をあげると・・・

東野圭吾先生はドラマ化した天下一シリーズと『聖女の救済』『流星の絆』のみ触れています。

伊坂幸太郎先生は映画化した『死神の精度』しか読んだことがないです。

宮部みゆき先生は歴史物は読むんですが、っていうかお初さんの話ね、ミステリ系やファンタジー系は触ったことがないです。(ちなみに映画化している模倣犯は手元にあります。ずっと。もう3年位放置してあります。いつか読まなきゃとは思ってるんですが・・・)

などなど。一応若い人(私は自分を若い人だと思ってます)に人気のありそうな作家さんで考察してみました。

ミーハーな天邪鬼なのですよ、私。

多分購入の仕方が問題なんですよね。ひとまずタイトルが目についたものを立ち読みして、自分に合うかなと思ったら買うようにしてるんですが、大体が保留扱いになっちゃうんですよ。だってお財布の中身は有限だから。本気で面白そうなら即買いですが、外すのは怖いのです。だからこう考えるんです。

「違うメディアで取り上げられている作品はおそらく面白いのだろう。」
「有名な作家さんで失敗した時の方が精神的にダメージが大きい。」

だから作家さんで選ばずに、周りの反応と立ち読んだ感想で読む本を選んでます。ビッグネームは外れは少ないでしょうけど外した時の絶望感がもう・・・。

まあ、これはある作品からきたトラウマによるものなんですが、その話はまた別の機会に。

なのでこれからも結構偏った、それでいてなかなかに有名な作品について触れていくと思いますがこれからもよろしくお願いいたします。

全然関係ないですが・・・

一応ブログを始めた当初にやろうと決めていた記事は書ききったので多分更新ペースが落ちます。気が向いたときに書くってスタンスなので、もともとは。

っていいつつまた明日もなにかしら書いてそうな気もするんですが(笑)

って感じで今日はお開きと致しましょう。ご清聴ありがとうございました。

誰がための刃 レゾンデートル

前回のラノベの記事で初コメがつきました~。超嬉しいです。もちろんすぐに記事も読まさせていただきました。なるほどと思いつつ投稿時間をみて驚愕。私が駄文の下書きとにらめっこしてた時じゃないですか。本当にびっくりしました。偶然ですよ、もちろん(笑)。

さて今回は『誰がための刃 レゾンデートル』です。

第4回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作。広島県福山市といえばもちろん新本格の祖、島田荘司先生の故郷ですね。そこで開催されている島田荘司先生自身が選考に参加している文学賞です。巻末にも選評が載っています。島田先生といえば金田一少年の事件簿絡みの事件で有名な処女作『占星術殺人事件』からずっと第一線で活躍されている日本ミステリー界の第一人者。その先生が絶賛している作品とあって購入前から胸の高まりが止まらなかったです。もちろんすぐ読まさせていただきました。って訳で今回はこの作品の感想をば。

まずは簡単な紹介から。

末期癌を宣告され自暴自棄になる外科医。彼に目を付け「相棒」として接触を図る連続殺人鬼。死を前に超えてはいけない一線を踏み越えようとする外科医はとある事件に巻き込まれた少女と出会う。彼女との出会いは彼の心境に変化を与え、残り少ない命を賭けて彼は最後の戦いに赴く。・・・こんな感じでしょうかね。

実は今の紹介は私の中で微妙かなあと思う描写が一か所あるのですが、一応間違っている訳ではないと思うのでこのまま行きましょう。行為としては・・・ですが心情的にはまだ・・・って感じですので、私の感覚だと。

さてストーリーだけ見ればよくありそうな展開ではあります。ふとしたことから出会った少女を守るために闘う主人公。王道じゃないですか。あくまでココだけ見れば。実際はこの作者さん、知念実希人先生にしか書けないであろう物語です。私は作者さんのことを大体~先生とお呼びしますが、この方に対してはもう一つの意味合いが。知念実希人先生はお医者様でもあるのです。なので医療関係の描写は他の作家さんには多分描写できないだろうクラスに素晴らしいです。

もちろん文学作品としてもプロットが丁寧で描写が細かく、惹き込まれる。その場面場面を映像として鮮明に感じれる。登場人物が確かに息をしている。そんな感じの作品。

では感想を。

ハードボイルド系の作品ですね。この手の作品は実はあんまり読んだことがないのです私。いや、読もうと思えばすぐにでも読めるんですが。父がハードボイルド好きなんですよね。で、本棚に一杯その手の本が並んでいると。ただ人間というものは不思議なものですぐ出来ることはなぜかやらないようになっているのです。しかも家にある本を購入したくないのでこの手の作品は避けるようにしてましたから私にはあんまり縁がなかったといえます。強いて言うなら読んだことあるのは映画化記念で買ったススキノ探偵シリーズの『バーにかかってきた電話』くらい。あれは面白かったです。

ほいでそんな私のハードボイルドに持つイメージは登場人物がかなり積極的に行動する、だから序盤は結構色々話が広がる、なおかつ結末までに一本の作品にまとまるイメージ。本作ももちろん綺麗なプロットで描かれていました。大まかに分けると二つの事件と主人公サイドの人間関係の3つが主体で進んでいくのですが、最終的には実に鮮やかに一本のストーリーになっていました。

形式は次々に焦点を当てる人物を代えていくいわゆる群像劇。似ている作品は『バトルロワイアル』ですかね。あ、あくまで私が感じただけですけども。少なくとも形式的にはとても似ている気がします。視点変化による臨場感の付加、シリアスシーンの間に含まれる心温まる情景や息の抜ける微笑ましい展開などなど。ちなみにこの2作品の違いとしては本作は描写を細かくすることでリアリティをつけていて、バトロワさんは文章の長短、もっというと詳しく書くとことあっさり書くとこの2種類を巧みに使い分けて緩急をつけてるところかな。どっちがいいとはいえないですね。どっちも素晴らしい出来なので。

形式も素晴らしいものがありますが、本作の特徴はやはり心理描写の深さにあるのではないかなと思います。これが他の作品にはない生々しいほどのリアリティを感じさせます。医者の心は医者にしか分からないし、患者の心を一番読みとれるのも接する機会が多い医者なんですよね。だからこそリアル、怖いくらいに。

ストーリーもかなり面白いです。禍々しいほどの狂気、色で表わすならどす黒い感じの中に一筋の希望が残る、そんな話。この話ならベストなラストだったと言えるでしょう。まあ、どのみち主人公は末期癌なので生き残って幸せに暮らすなんてハッピーエンドにはできませんでしたが。ちょっとだけ苦い、けど救いのあるそんな結末。内容はとても重いのに読後はさわやかな気持ちになれる作品でした。

内容だけ見るとかなり重そうですが、かなり読みやすくまたとても楽しく読める作品になっています。是非手に取ってみてはいかがでしょうか?

あ、追加事項で読む際はグーグルとかの検索エンジンを手元に置いとくといいかも。若干医療の専門用語が入っていて一般人は調べないと分からないものもありますので。一応丁寧に紹介はしてくださっていますけども。念のため。

ライトノベル論争

「ライトノベルって具体的にはどんなものですか?」

皆さんはこう聞かれたらどのように答えますか?色々な答えが予想できますが多分ひとつにまとまらないと思います。例えば・・・

「表紙や挿絵にアニメ調のイラストが使われている若年者向けの小説」
「小中学生対象の娯楽小説」

なんて答えが予想されます。ちなみにこれはウィキペディア先生に書いてあった定義。ただ、曖昧ですよね。そこで今回はライトノベルと普通の小説の境界線について考察していこうと思います~。

パターン1 挿絵等がアニメ調

まあ、ラノベと聞いて一番最初に浮かぶのはこれかなあと思います。ただね、最近感想を書いたビブリア古書堂事件手帖もラノベ作家さんの作品なんですよ。でもラノベかって言われると微妙。アニメ調の挿絵がある訳ではありませんしね。大体最近では復刻版なんて称して過去の名作に漫画家さんがイラスト提供を行い、それを表紙にしてるものなんていうパターンがありますし。夏目漱石の『こころ』がラノベとはさすがに思えませんしね。

以上のことから挿絵がアニメ調というだけではラノベと断定してはいけないのかなと。うん、ちょっと論理がむちゃくちゃなのは分かってます。まあ最終的に言いたいことがあるのでここはこんな感じで押し通します。

パターン2 ある特定のキャラクターの視点で物語が進む

ラノベと聞くとまず私がイメージするのがこのパターン。ある登場人物が行った会話とそれに対するその人物の反応、相手に対する洞察なんかで構成されているパターン。もっと簡単に言うと地の文が俺とか私とかの一人称で進んでいく感じ。具体的には・・・

「俺の背後から何かの気配を感じる。うすうすやな予感を感じつつ多少諦め気味に俺は振り返った」

みたいなね。これ多いイメージじゃないですか?少なくともこの文章だけ見たらラノベだと思ってしまいませんか?

ただね、私ラノベあまり読んだことないのだけれど(理由は基本シリーズ物だからです。1から読むのがめんどくさいのさ。)これに該当しないラノベを知っていますし(とある~シリーズはたしかこのパターンじゃなかった、よね?)こういう形式をとっていてもラノベに該当するとは思えない作品も知っています。

なのでこれも却下。

パターン3 独特の世界観を持つ作品

ラノベの設定をイメージしてくださいと言われたら私は「学園物 主人公は特殊能力持ち ヒロイン一杯 なにかしらの異世界と関わりがある」みたいなのを連想します。このように特殊な世界観を持つ作品をラノベとする。こう定義してみましょう。これに対する反論は一言で済みます。

「ハリーポッターはラノベですか?」

今私が挙げた要件をすべてクリアしてますよね、ハリ―ポッター。まあ、適当に挙げた要件で実際はどれか一つでも該当したら~なんて思ってたんですけど。しかもこの定義だとハリーポッターに限らず全てのファンタジー小説がラノベ扱いに。さすがに無理がありますよね。しかもね、ラノベのややこしいところはジャンルに制限がないこと。ミステリーもSFももちろんファンタジーも存在します。多分一番多いのは学園ハーレムものなコメディ要素の強い恋愛ものでしょうけども。なのでこのパターンでも正確には定義できるとは言えない気がします。

さていままで3つパターンをあげました。本当はもっと挙げれそうですがあんまり長くなるのもあれなので一旦まとめます。この3つのパターンを組み合わせて作ればライトノベルを明確に定義出来るのではないでしょうか?答えは・・・「多分出来ない」になると思います。なぜかというとラノベはその出版社がラノベとして発売したらラノベ扱いになるからです。元も子もないことを。これじゃあ定義なんて出来る訳ないやん。

まあ、そりゃあそうでしょう。未だに定義が確立されてないのに私一人がああだこうだ言ったところでどうにかなる話ではないんですよね、そりゃ。

ってわけです。一応最後に私なりのラノベの定義に関する考えを述べて閉めさせていただきます。

ライトノベルはキャラクターを目立たせるために出来事を起こしているもの。一方普通の小説はストーリーを完成させるために登場人物を駒として扱うもの。という定義。

ラノベはどちらかといえばキャラの魅力を重視していて、小説はストーリーの完成度を重視しているものなのかなと思います。そりゃあ理想はどっちも備えることでしょうが一冊の本としてまとめるときにはどうしても文章量に上限が生じます。だからどちらか一方を重視する。重きを置いたものによって区別できるようになる。こんな感じに私は捉えています。

もちろん、私個人がこう考えているだけです。これが正しいだとか真理だとか言うつもりは一切ありません。まあ、戯言、あくまで私の書いた駄文ってことにして置いて頂けると幸いです。

密室殺人ゲーム・マニアックス

風邪を、ひきました。昨日は一日中寝ていたけれど今日起きてみても状態は改善されず。今日もまたずっと寝てる予定です。

だけれども、人という生き物はある程度睡眠をとった直後には寝られない生き物なのですよ。当然やることもないし手持無沙汰な訳です。まあ、積んでた本を崩しにかかりました。どれもこれも素晴らしい出来でしたね~。今後随時感想を載せていく予定です。

でね、まあ思いもかけず時間が出来てしまったので本作、『密室殺人ゲーム・マニアックス』についても一応読みこめたかなあといった感じになりましたので暇つぶしを兼ねて感想を書いていきます。

え?何もこんな朝っぱらからやらなくても?いえいえ、一日中寝てた私の生活リズムはもうとっくに崩壊しているのですよぉ。正直これ書き終えたらまたお布団に戻る予定ですし。なので平日朝というちょっと間の抜けた時間ですがお付き合いください。

さて、とうとうこのシリーズも王手飛車取り、2.0を経てここまで来ました。ちなみに作者さんに言わせると本作は外伝的エピソードなのだそうです。なんでもこれを外伝にして3作目の用意があるとかないとか。私的には3部作のラストを飾るにふさわしい出来だと思いますけども。確かにきっちり完結したとは言えない内容です。ただ、本作のある登場人物が言っています。

「先人が築いたものを受け継ぎつつ、自分ならではの味を加え、一段違うところに持っていかなければならない。文化というものはそうやって継承発展していくものでしょう。」

この言葉はこのシリーズ全体をうまく表現している気がします。王手飛車取りで生まれた文化を2.0で継承し、本作にて一段昇華させています。そういう意味でこのシリーズは3部作としてうまくまとまっていると感じました。

ではでは簡単な作品紹介。

頭狂人、044APD、aXe、ザンギャ君、伴道全教授。奇妙なハンドルネーム。夜な夜な行われる推理ゲーム。そのゲームの舞台に「彼ら」が祭り上げられたとき次のステージへの扉が開く。みたいな感じでしょうか。

・・・普段はストーリー紹介の時にここまで考えないんですけど、ちょっとだけ文章ひねってみました。前の2作品とは若干紹介の仕方を変えています。見比べてみてください(笑)。なぜそんなことをしたのかは本作を読んでいただければご理解いただけるかなと思います。

でね、まあ意気揚々と読み始めた訳ですよ。面白いであろうことは王手飛車取り、2.0と通してるので分かってましたから。はい、また感じました、違和感。しかも2.0のときとは違う感じ。あっちはなんとなく気持ち悪い。でも本作から感じたのはそれとは違う、なんとなく、本当に些細なこと。ってわけでまずはそれの検証から。

まず、ひとつひとつのセリフが長いこと。これが本作の特徴の一つかなと思います。それまでは掛け合いが軽やかだったんですよね。会話にリズムがあったというか。漫才みたいな感じ。それが本作だと若干薄れているように思います。とはいえ、前作、前々作に長いセリフがなかったかといわれるとそんなことはないです。だって出題者がいるのはシリーズ通して共通していることですから。当然事件概要説明のために長台詞も多発する訳です。だからあくまで些細な違和感にすぎません。

次にある登場人物のセリフになにかおかしさを感じるんですよね。率直に言うと頭狂人なんですけど。なので一応調べてみました。何が違うのか。どこがおかしく思えるのか。で、気づきました。簡単に作中の例をあげます。

「はいはい、私たちの読みこみが足りませんでした」
「殺さないけど怒ってるよ、私も」
「言いだしっぺはこの私」
「あれは私 ちょっと自慢したくなっちゃって」

こんなとこでいいかな。これは頭狂人の作中の台詞の一部です。はい、キーワードは「私」です。頭狂人の台詞、王手飛車取りも2.0もここまで「私」連発しないんですよね。完全になかったかといわれるとさすがに全部は観てないので断言できませんが、比べてしまうといくらなんでも多すぎです。でもそこじゃないんです。多いことに違和感を覚える訳ではないんです。むしろ逆。「明らかにおかしいはずなのにそれを不思議に思えないこと」が私の感じた違和感の正体です。

多分シリーズを通して読んでいる方は私と同じようにスルーしてるんじゃないでしょうか。特に王手飛車取りを読んでいる方は。・・・まあ、これ以上言っちゃうとネタバレにつながるのでここまでで止めときましょう。

ちなみにこの「私」の違和感に気付くと伴道全教授にも若干違和感を感じるはず。まあちゃんとネタばらしがあるのでそこまで気にすることでもないんですけどね。ネタばらしのあと意識して読むとこの違和感にも納得がいくはずです。

さて、違和感論争?に一応の決着がついたところで気になる中身の方も観ていきましょうか。

外伝の位置づけなだけあり文章量は少ないです。なので毎度恒例のいわゆる脱力系のコーナーはほぼありません。いや、あるっちゃあるんですが基本的には脇道に逸れず本筋一本で話が進んでいきます。

もちろん一話一話も魅力的。ひとつの話の中でもきちんと伏線を置き、丁寧に謎が解明されていくのには感服させられました。さすがです。特にひとつ目の密室。素晴らしいの一言に尽きます。そして全体を通してもまた綺麗にまとまっています。このシリーズの特徴であるある種の驚きもちゃんとありますしね。

使われているトリックは基本的ではないですね。ちょっと突拍子のないものが多かったイメージ。でも今回とられている前2作にはない形式にはぴったりだったかなと思います。もちろんメイントリックは今回も秀逸でした。

って感じですかね~。シリーズ物滅多に読まないってのは前に話しましたけどこれは読んじゃいましたね。それぐらい面白い。お勧めの一本です。ただ面白いけど、本作を読む前に前の2作は読んでおいてほしいかも。100%楽しむためにね~。

それではよい一日を~。

密室殺人ゲーム2.0

今日はね、記事は書かずに寝ようと思ってたんですよ。このペースで読書感想書き続けたら間違いなくストックがなくなりますから。「いや、新しいのに手をつけろよっ」と思われるかもしれませんが一応手をつけたら3,4回は繰り返して読むというのが私の中のルールでして。一冊に大分時間がかかるんですよね。下読み→伏線回収→本読みみたいな感じ。

だからこのブログは不定期更新を謳っています。しばらくの間は過去に読んだ作品で間を持たそうと考えていたんですよ~。いままでの記事もツイッターで触れた作品だけにしてましたし。

ただね、寝れなくなっちゃいました。

『密室殺人ゲーム マニアックス』の下読みが終わりました。いや、今日は前半半分くらい読んで寝るつもりでしたが惹きこまれました。正直まだ興奮してます。これは一刻も早く感想をまとめてみたい、そう思いました。ただ、まだきちんと読めていないので今回はその前作、そして前回紹介した王手飛車取りの続編でもある『密室殺人ゲーム2.0』の感想を書いてみようと思います。

前置きが長すぎですね。早速簡単な紹介から。

と、いっても続編なので一作目の設定を流用しています。顔も名前も知らない5人によるチャット。実際にあった殺人のトリックを肴に推理談議をするというもの。こんな感じです。

ただですね、前作を読んだ読者はこう思っているはずなんですよ。

「続編なんて作れるわけがない」って。

ですが、前作と同じような設定で物語は進みます。ま、このへんは読めば分かるとしか言えないんですが。

さて、今回は続きものなので感想をこれ単品で観た場合と続編としてみた場合の2種用意しました。もっとも後者の方が言いたいことが多いので前者は適当に済ませますけど。

これを単品、ひとつの作品としてみた場合その完成度は王手飛車取りにも劣りません。2.0だけ見た人はかなり満足できる出来のはずです。構成、伏線、結末どれをとっても高レベルでまとまっています。さすが賞をとれる作品って感じ。

しかしながら私は前作を知ってしまっています。だから2.0だけを評価することはできません。だって先入観がどうしても入っちゃうもの。なので今述べた単品の感想は多分そう感じるだろうという予想にすぎません。

というわけで本題。この作品を続編としてみた場合の感想です。

まず読み始めると、ほぼ100%違和感を感じるはずです。あれ?って。まあこの違和感は続編なんか書けるわけがないという先入観によるものだと思います。その後も前作を知っている者にとってはおかしな描写が乱発します。そして物語中盤にこの違和感についてのネタばらしが入ります。一応納得ができるものではあります。ただ、あくまで私はですが、ここでかなりがっかりしました。で、その後は淡々と進んで終了って感じかな。ラストはなかなかでしたけどね。

多分作者さんは前作読者がこう感じることを意図しているんでしょう。多分もっと違和感のないような描写をすることができたはずです。でもあえて違和感が残るような表現にしてるのかなと思います。前作読者に向けた表現も多いですしね。

さらに作品の内容。これも前作を読んでいると物足りなく感じます。なぜなら2.0でやっていることは大体王手飛車取りでもやっているから。自分で自分の作品を「模倣」してる感じです。一度経験しているので驚きは半減です。だからあえて前作読者に向けて描写しているシーンがあるんでしょうけど。

何が言いたいことかというと前作読者は多分前作の方が面白いと感じるであろうこと。でもこれを読む前に王手飛車取りも読んでおかないと本作は100%は楽しめません。だって前作前提の表現があるんだから。前作読んでないと作者さんが提供している違和感を感じれないんだから。ちょっとしたジレンマですね。

感想としてはこんな感じかなあ。ただ3作目に触れた今だから言えることなんですが2作目もまた伏線です。きっちり3作目で魅せ付けてくれました。3作品全部読み終わったあとなら2作目があの形でよかったと思えます。拍手喝采です。気分はスタンディングオベーションです。

もちろん単体でも続編として読んでも楽しめる作品となっております、是非一度手に取ってみてはいかがでしょうか。




さて、実はこの作品には個人的に凄く気になっている点が一つあります。するつもりはないんですが本作の内容に触れるので・・・

ネタバレ注意の意も含め最後に書かさせて頂きます。







頭狂人(このときの出題者)の事件のあと、とある事件描写が話と話の間に入ります。主だった登場人物は4人。そのうち2人は亡くなってしまいます。で、確かにひとりは生かしておく必要があるんです。話全体を通して必要なことなので。ただここで私はひとつ疑問に思います。

「なぜもうひとり生存者がいるのか?」

最初はこれ伏線だと思ってたんですけど、小説内にある描写だと多分回収されてない気がするんですよね。これ以降多分この生存者についての描写はなかったような。

2.0は最近買った作品で王手飛車取りに比べれば全然読みこめてませんのでただ単に私が見落としているだけかもしれませんけども。あくまで私はこう感じたということで。

確かになんとなく補完はできます。こういうことなのかなあっていう予想は立てられます。この作者さん、歌野昌午先生は読者の解釈に任せるような描写をラストに据えることもあるので今回もそうしたのかもしれません。実際王手飛車取りも2.0も3作目のマニアックスもある程度含みを持たせたラストになってますしね。ただね、あくまで予想なんですよ。なんとなくなんですよ。だから気になっちゃって気になっちゃって。

この作品を読んだ方で、もしくはこれから読もうとしている方でこの問いかけに応えられる人は私にご一報頂けると嬉しいです。

ミステリのトリック

はい、たった今密室殺人ゲームの記事を書き終えたところです。

で、「あ、これは分けて書いた方がいいぞ」って思ったことがあったので別に駄文として書きまーす。

っていってもおんなじようなことをツイッターでも書いてるのだけれどね。まあ、慣れるまでは許してください。読書関連はそのうちこっちメインで行うようにしますので。

この記事の中で触れたミステリにおけるトリックは先人たちの手によって出され尽くしているって主張ですがこれはあくまで受け売りです。東野圭吾先生の『名探偵の掟』ですね~。これもかなり変わった作品ですので今後感想かくかもです。ま、それは置いといて・・・

そう、トリックで差異をつけるなんて不可能なんですよ。密室に然り、ダイイングメッセージに然り、凶器や人の消失系のトリックに然り大体のものは過去の作品に分類可能です。どんなに斬新な書き方をしようとね。でも読者は同じものばかりじゃ飽きてしまう。ここが近年の推理小説の難しいところです。

例えば、世界一有名なダイイングメッセージ『まだらの紐』。今やったらブーイングものですよ?あれは当時そのトリックが斬新だったから名作になったんです。今じゃ知らない人の方が少ないくらいですしね。

例えば、叙述トリック。アクロイド殺しやらちょっと趣向は変わるけど日本一有名な犯人が出てくるポートピア連続殺人事件。斬新さがあったのはそれを使った初期の作品だから。

まあ斬新なことがいいことかというと必ずしもそうではないんですけど。古き良きミステリを愛する人もたくさんいますから。もちろん私もその一人です。

じゃあ、新しいトリックが生まれにくい近年の本格ミステリはつまらないのか?当然答えはノーです。

作者さんがさまざまな工夫を凝らしている。背景設定や登場人物はもちろんのこと表現ひとつとっても作者さんのこだわりを感じることができる。それに読者に驚きを与えるのは斬新だからって理由だけではないですから。鮮やかな伏線回収、美しい結末・・・トリックだけじゃない、その作者さんだからこそ出せる味。そういったもので読者を常に楽しませてくれます。

そんな偉大な作家さん達に最敬礼っ。

密室殺人ゲーム王手飛車取り

これまた最近ツイッターで触れた作品です。密室殺人ゲームシリーズ。

今回もまた珍しくシリーズで読んでる作品でして一応現状では1,2を読み終わってて3は既に手元にあります。今週中には読んじゃう予定です。

ただですね・・・この作品個人的に1と2で評価が全然違うんですよね。なので分割して感想を書こうかなと。

と、いうわけで今回は一作目に当たる王手飛車取りについての感想をば。

有名なのは多分2の方です。なんといっても第10回本格ミステリ大賞作品ですからね。でもはっきりと断言します。確実に王手飛車取りの方が面白いです。まあ、あくまで私が読んだ場合そう感じたってだけなんですけども。その理由についてはおそらく後日に2.0の感想で触れる予定なのでここでは割愛しますね~。

では簡単なあらすじを紹介。

あるAVチャットにて。互いに顔も名前も知らない5人によって夜な夜な行われる推理ゲーム。お互いが知っているのは画面に映し出されるキャラクターと5人全員がある種常軌を逸した趣味を共有していること。1人が出題者となり、残る4人が解答者としてその謎に挑む。よくあるミステリマニアの集い。ゲームで出題される問題は出題者が実際に犯した殺人であるというその一点を除いては・・・。こんな感じですかね。

もちろん前回触れたパズルの形式的な面白さは満足できる出来です。短編連作ではあるものの先の伏線が至る所に置いてあり一本の作品を通しての完成度も高いです。あ、もちろん一話一話もしっかりしてますよ~。一話ずつ読んでも面白い。一本丸ごと一作品としても素晴らしい。そんな作品。

そしてパズルを解く段階。これもかなりレベルの高い出来です。

まず前提条件としてミステリの基本であるフーダニットが「基本的には」使えないんですよ。だって出題者が実行してる殺人だから。その縛りを感じさせないための工夫が素晴らしいんですけど。

使用してるトリックはそこまで突飛なものはないですね。あくまで基本的なものでした。ただし本作におけるメイントリックはなかなか趣深いものなんですけど。ミステリのトリックは大体のものは先人の作品のどれかに当てはめられてしまいますからね。先人たちは偉大なのです。トリックの種類で作者を驚愕させる作品なんて現在ではほぼ無理です。出尽くしてるってのが現状ですからね。だから既存のトリックをどういう風に魅せるか、ここが作者の腕の見せ所になるわけです。そしてその魅せ方が素晴らしかった。

ミステリの探偵役は基本ご都合主義の超万能な人ですよね?最近の作品ではそうでもないかもですが。そして原則一人です。そんな万能な人間を何人も出すわけにはいかないですからね~。ま、脇を固める相棒みたいなポジションのキャラはいますけどね。でもこういうのはあくまで探偵の優秀さを引き立たせるのが役割なので。あくまで謎を解く人は一人が基本です。

ですが、この作品は解答者=探偵役が常時4人いるんですよ。そして万能ではないんです。とんちんかんな閃きをしたり、出題者の用意したミスリードに見事にはまってしまったり。そんなこんなで議論を重ねながら結論を導きだす、そんな形式をとっています。あくまで基本的なトリックであるにも関わらず、あえてミスリードな推理をさせることで読者を真相から遠ざけているんですね。まあ、誰がとんちんかんなことを言い出すかある程度は役割が決まってるんですけどね。

それでですね、この小説で特筆すべきはミスリード役が完全に間違ったことを言っている訳ではないことです。大部分間違っているけど実は一部正解を言い当てているパターンが多いんですよ。ミスリードの中にも伏線を置いている点がこの作品の面白さを際立たせているのかなと、そんな風に感じました。

そして何よりも一番素晴らしいのがメイントリック。ここでこれについて話すと壮大なネタバレになるので伏せますけど、この章が終わるとあなたはきっとこう叫ぶはずです。

「ああああああああああああああああああああああああああああああ」って。

で、次の瞬間にはこう悟る。

「ああ、だからこういう構成で話が作られてたのか」って。

そう、うすうす感じ取れるようにはなってるんです。ただそれでも不意を突かれる。そんな感じ。

大体いいたいことは書いたかな?多分私の拙い文章力では魅力を最大限に伝えるのは無理だと思います。実際手にとって読んでみてほしい。で、何回も読み返してほしい。私もまだまだ読み込みが足りてませんけどね。

個人的には私の人生の中でも屈指の名作だと思ってます。是非一読してみては?

ビブリア古書堂の事件手帖

さて、では早速感想にいってみますよ~。

記念すべき一作目はビブリア古書堂の事件手帖です。文庫本で初めて本屋大賞にノミネートされた作品ですね。今回は1、2巻どっちも読んでいるので二つともまとめてやっつけちゃいましょう。

で、なぜこの作品かというと・・・

ツイッターで触れた作品だからです。このブログも始まったばかり。いかんせん何を書けばいいのか分かってない状態なので最近ツイッターに書きこんだことをほとんどそのまま書いちゃえばいいか~的な感じで。しばらくはこんな感じが続くかもです。

あ、あと個人的な読書観を書くのに最適かなあと思ったからです。

実は後者の方の比重が高いわけですが。

じゃ、始めます~。

簡単に紹介。

とある古書堂に持ち込まれる作品の数々。そんな古書にまつわる、もしくは元持ち主にまつわるエピソード、ちょっとした謎を極度の人見知り、でも古書のこととなると性格が変わったかのようにはしゃぎだす古書堂の女店主がずば抜けた洞察力で明らかにしていく。その様子を眺めている主人公。こんな構図の作品ですね。

「綺麗」 この言葉がピッタシな作品でした。

私が小説を読む際一番気にすることは「プロットがしっかりしている」かどうかです。その点だけをみるならばこの作品には満点に近いものを感じました。(まあ、突っ込もうと思えば突っ込めなくもないですが小説にそれは野暮ってものです。)

小説はパズルのようなものだと私は考えています。完成した絵が結末。登場人物の動き、背景描写などなどがピースですね。

プロットがしっかりしてる作品というのはピースに過不足がなく、ちゃんと絵として完成してるもののことをいいます。少なくともここではそういう解釈でお願いします。

だから、ピースが多すぎる場合(例えばあとあと読みなおしたときに意味のない登場人物の行動とかですね)は論外です。結末がしっかりしていたとしてもそれは小説ではなくドラマやらの脚本になってしまいます。そういうのじゃないんですよね。あくまで文学作品として小説は読みたいので。結末よりもその過程に重点を置きたいです。

またピースが足りない場合(あいまいエンドとか読者の解釈に丸投げみたいな感じの作品)も個人的にはあまり好きではないです。ただこっちの場合はあえて読者に任せることで面白みをだす小説もあるので一概に否定することはできませんが。

大分脱線しましたがビブリア古書堂シリーズは1も2もパズルの形式としての面白さはずば抜けてます。小説の書き方の一例として教科書に載っててもおかしくないレベルかなと思います。

ただですね、パズルの面白さってなんだと思いますか?

パズルが完成することではなくて、パズルを完成させるために試行錯誤することですよね。この解き方、パズルの難易度が小説の面白さなんだと思います。伏線なんだけど分かりにくくしたり、ピースの枚数を錯覚させるような描写をしたり。

ビブリア古書堂シリーズはその点では少し不満の残る作品かもしれません。なんだろう、パズルを解こうとしてピースを準備しようと思ったら隣に完成系の形で並べてあるみたいな感じ。

もっと簡単にいうと・・・先読みが容易にできます。

基本に忠実に伏線を置いているので情報が出そろう前に結末が分かってしまいます。ピースを確実に拾っていけば結構簡単に。少なくとも展開が読める話の方が圧倒的に多いです。よくいえばそつがない、悪く言えばいいところがないって感じかな?パズルとしてみた場合ですが。はじめの一歩の木村さんみたいな感じ?

ただ、ひとつひとつの話自体の面白さや派手ではないがなかなか趣のあるキャラクター等かなり楽しめる作品になっていると思います。さすがに本屋大賞ノミネート作品なだけはありますね~。

こんなところですね。実際綺麗な作品は大好物なので読み始めたら止まらなくなって結局最後までいっちゃったんですよね~。おかげで寝不足になっちゃいました。

おすすめの作品なのでぜひ読んでみてはいかがでしょうか。




全然関係ないですが・・・

こういうのは基本作品のリンクを貼るのが普通な気がします。けどやり方がわからないのでしばらくはリンクなしでやっていこうと思います。以上、多分どうでもいい報告でした~。

はじめに

はじめましての方ははじめまして。知ってるよ~という方は閲覧ありがとうございます。
みちくさぼーやと申します。以後お見知りおきを。

えっとですね、こういうブログは初めて作ったので勝手が分からないんですが・・・
このブログは私が読んだ本の感想を淡々と書き連ねていくブログになっております。

ほいでですね、一応何かしら書く前にこのブログを作ることになった経緯と一応の諸注意の方をさせていただきます。

まずは経緯の方から。

私はもともとツイッターの方で読書感想ツイートみたいなのをやってたんですよ。ただ、字数が足りない、足りない。「何連続で呟くねん、お前。」といわれかねないツイート量。一歩間違えたらTL荒らしやと思われてまうレベルでした。もともと読書感想なんてツイッターに向いてないですしね。

また、ツイッターだと人目に触れやすいってのも欠点でした。読む気がない人にも読ませてしまうんですよね。だから本気でネタバレに気を遣わなくちゃいけない。もっと言いたいことがあるのに。って感じになり・・・

「あれ、これブログでやった方がよくない?」

っていう答えに行き着き、今に至るといったところです。
ブログだったら「ネタバレ注意です」って前置きしておけばネタバレされたくない人にも配慮できますしね。まあ、一応ネタバレは極力しないスタンスでいくつもりではあるんですが。

うん、こんなとこかな。続いて諸注意の方を。

なんか諸注意って生意気ですね。ま、戯言と思って読んでください。

まず第一にこのブログで取り扱う予定の小説その他諸々は私が個人的に人に薦められると思ったものだけです。嫌いな訳ないじゃないですか。感想書こうって思うくらいの作品ですから。ただですね、全部が全部大絶賛じゃ面白くないですよね?ステマしようってわけではないので。だから、多少批判めいたことを書きこむかもしれません。でも批判してるわけではないのです。気にいった作品だからこそ気になったことを挙げるだけで。

第二に私は続きものをあまり読まない傾向にあります。例えば一作目の感想を書いたとしても二作目の感想がすぐ更新されるなんてことはほぼ、ありえません。同じ作者の作品を続けて取り扱うなんてこともしないと思います。
なのでひとつのシリーズ全体を通して感想を書くみたいなことは滅多にないかな、多分ですが。あくまでその一冊の感想だけになるかと。

なんて感じですかね。


ではでは、くだらなーい感想をぐだぐだと書いていく予定ですがお付き合い頂けると幸いです。


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